蜜柑日和 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

蜜柑日和    

箱の蜜柑をひとつ みずみずしい果肉に親指をうずめる とばりは陽光を宿し 円やかな発光に 洗濯物を取り込む背中は茫として 影が胎児のように揺らめく 空いた腹を温める炬燵の 中で犬も丸くなっている 根を下ろす睡蓮を 深くへ 深くへと 沈めて 膨らんで 膨らんで ひらく 匂いは部屋中に浸透し うっとりしていると 賑やかな話し声も遠くなる 教室の隅、窓側の席は 日当たり良好で わたしは少しキズついていて そしてとても健康だった 薄皮を破らないように 実を分ける手は優しい 果汁はシミになるから こぼれたらはやく洗わないと、 (伝染病っておそろしい) 秘密がみんな知れてしまう じょうずなハートの折り方を知らなくて メモをぐちゃぐちゃにした 指先は執拗に匂う いつの日も 真っ白なシャツを着て清らかに 美しくありたいと願っては 落としきれずに隠していた そのために、 わたしたちは校則を守っていた 水の底から あぶくが上がる音がして 深煎りのいい香り テーブルのうえには マンダリンの睡蓮 ブラックコーヒーに波の輪を浮かべて カステラをひと切れ食べた



蜜柑日和 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 1617.9
お気に入り数: 2
投票数   : 2
ポイント数 : 0

作成日時 2021-01-17
コメント日時 2021-01-22
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/02現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:1617.9
2025/04/02 21時16分12秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

蜜柑日和 コメントセクション

コメント数(2)
杜 琴乃
さんへ
(2021-01-20)

もなかさん 過分なお言葉をいただきまして本当にありがとうございます。 やや内側への視点が強いこと、選語や( )部分のご指摘やご感想、とても嬉しいです。 詩は半分くらい感覚でしょうか……狙って書いているところもあります。いろいろ想像できる要素があると楽しいなぁと思って書いています。正直なところ、それが滑っていないかドキドキしていることもあります。 色々と大変な世の中になりました。お体にはお気をつけてお過ごしください。この度はお読みいただきまして本当にありがとうございます。

0
杜 琴乃
さんへ
(2021-01-22)

沙一さん 『とめどなく詩であることを感じさせられる文体』とのコメント、大変恐縮です。 例のワードに関しては、私も躊躇が無かったわけではありません。なんとなく不謹慎な感じになるかな……などとも思いました。けれど、未来、これを読んで、そういえばそんなこともあったな、と懐かしく思い出すかもしれないと思って記しました。 その部分が(どのような理由であれ)評価いただけて嬉しいです。 お読みいただき本当にありがとうございます。

0

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 2