忘れちまったって
ぜんぶ
十月十日
二人でひとつだった日めくりも
おなかが痛んだ真夜中も
命がけで
此処に
(世界に)
送り出したのも
みんな
みぃんな
いとしく名を呼んだ日も
笑いあった朝も
泣いた夕暮れも
つないだ手の確かさも
たわんだ背中を撫でた掌が温かだったのも
みぃんな
みぃんな
置いてきちまったってさ
制服着てたあの子もね
もう名前呼んでくれないし
データバンクが壊れちまったんだって
積み上げた積み木が崩れちまって
もう元には戻せないって偉い人が
私といったら丸太棒を飲み込んで串刺しに
突っ立ったままおろおろするしかないんだ
唯一のひとみんな背中向けてさ
置いてきぼりで途方に暮れてるんだ
きっと前に酷いことを
誰かによほど
ほとほとと水音は雨
抱えた膝に落ちる生温い雫
ずっと止まらなくて
クスリいっぱい飲んだよ
でもさ駄目だったんだ
瞼も力いっぱい瞑ったんだ
だけどさ夜は閉じなくて
それで朝が仕方なくやって来ちまった
この生温い水いつやむんだろう
元栓どこにやったかな
今日は髪を切りに行くのに
うねうねと伸びた未練の
白髪まじりの執着の
髪を切りに行くのにね
おひさまも置いてきぼりだって
作品データ
コメント数 : 3
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作成日時 2021-01-07
コメント日時 2021-01-14
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
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2024/11/21 23時21分39秒現在
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沙一さんありがとうございました。 迫真の詩とのお言葉胸に刻みました。
0こんにちは この詩は読み解くよりも、柔らかく包んで胸にずっと抱え込んであげたほうがいいこなのかもしれません。 ふわっとしたことしか言えずすみません。
1夏村木さんありがとうございました。母性のある方なのかな、と思います。嬉しかったです。
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