夜は星を染めて
青い襯衣を縫い
昼には死別れた者達が呼び合うを聞く
土地の上 風は微睡み
原罪以前の
林檎の花あどけなく咲いている
奪いあい
人は生きるもの
始源より
人は変らず普くひとつ愛憐を説き乍ら
その他愛ない
呵責の果てに
他者の死の成果を
雲よりも高く築かんとする
瀝青の塔が建つ町、
永続の爲にひとを忘れた町
私達の邦はその様にうつくしくなる
言葉がさかしまの意味を指す様に為ったのは
いつからだろうか
私達は書言葉に呪われているのだった
書かれた言葉は既に別の生命
乃至 意思を持つ爲に
言葉
書かれれば
書かれるほどに巧くなる筈だった
その言葉に私達の精神、
または緑や樹、
海や山麓といった現象
或は昔には世界と呼ばれた
ひとの手に拠らない
地球の汀は
今、
絞殺されようとしている
誰もが見た海の怖ろしい程の広さは
今やスノー・ドームの水槽に閉じ込められ
地球には一日、
それとも
私達には一つの世紀は
豪雪期に降り埋められていった
石灰質の亡き骸
微生植動物の喉声帯はなきゆえに
彼等の意思には尊重を置かない
人間という傲慢
理性という貪婪
総て化石の華の臺のように
地層に静まれる
蝶の心臓を息吹く、声
――わたし、生きていたのよ、と
蛹が語っているような、気が、した
作品データ
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作成日時 2020-12-27
コメント日時 2020-12-27
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
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2024/11/21 23時00分59秒現在
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