語り合って、愛し合って、傷つけ合ったこの部屋。
―あしたで扉を閉める。
アイリッシュ・ジグは軽快に
タップを踏む貴方 手拍子の私
――すべてはギネスとジョニ赤の罠でしたね。
すべての終わりに踊りましょう。終わらせるために踊りましょう。
スマホのライトは、琥珀が溶けた瓶の下
嗚呼…この部屋は琥珀に沈む
指を絡めて、腰を抱いて
『オンリー・ユー』と、プラターズ
踊れもしないペアダンス ぜんまい人形のふたり……
***
雨が降る晴れ空を見て、美しいと感じないのは貴方で
雨が降る晴れ空を見て、理由を考えないのは私だ
そんな貴方を嫐る私。
そんな私を嬲る貴方。
それでも良かった。悪くなかった。
***
瓶の中身が減る度、時間は進み、壁に乱反射したウイスキーの輝きも薄くなる。そして夜明けに近づく。
踊り飽きて、語り合って、愛し合って。詰まりは傷つけ合って。
それも飽きて、取り敢えず呑んで、思い出を見返して。
ギネスとジョニ赤の罠にハマったふたりは、罪の証に、最後の記念に、マグショットを撮った。
また逢う日なんて来ないから、ふたりでドアは閉めなかった。そんなことより吐き気と頭痛が酷かった……。
貴方は何を食べているのかしら。誰を食べているのかしら。仕事帰りの土手から見える琥珀色の川で、そんなことを思ってしまった。
このまま、ずっとずっと川を沿って歩けば、すぐに街から離れて、いつかは郊外を出て、そして無限の田舎道を進んで、海に出る。琥珀色の果てには貴方がいる。
夢だったんじゃないかと勘違いしそうなあの終夜の続きが、いま目の前にあるのです。
短編の映画を観た、そんな作品でした。 琥珀のフィルムが私の中で回っていました。
1二ノ宮さんの作品、両方ともお見かけしたことがありましたし、こうして今も覚えている程に印象にも残ってます。 不安定さというか、漠然とした不安を残すような作風が好きです。
1上手くて、沢山本を読んでらっしゃるのだなぁと思いました。スマホと琥珀がなんだかいい響きです。
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