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老犬
息荒く手綱に寄り添うように 突き出した舌を滴らせ 瞳はやつれて潤んで見える 毛並みの乱れた脚を引きずり 鼻面を大地に擦り寄せて 足元に映る錆びた自分を追う 立ち止まった老犬には落陽さえ眩しい もう追いかけることもない地平線 散りばめられたのは思い出だろうか 垂れ込んだ耳には聴こえている 仲間と戯れ合い走り回った日々 生まれた風が頬をサラッと撫でる 間もなく闇夜が優しく包む 見えない懐かしさに引かれるように 老犬はまた一歩大地を踏みしめる
老犬 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 906.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-08-30
コメント日時 2017-09-06
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
読まれる人の年代によって印象が変わるのではないか。というのも野良犬が路地を徘徊してるのをしょっちゅう見かけていたのは昭和50年代ぐらいまでじゃなかっただろうか。いや、本作内では、大地、地平線と書かれてあるわけだから、町が浮かぶわけないじゃんと、ツッコまれてしまうかもしれないが、私からすると老犬ときいて思い浮かぶのは、行き場がなくいつも空腹で町をウロウロしてる犬、そして昭和の風景だ。そのイメージのまま私は一読してしまったので、読後に、「子供の午前中に目撃した、あの野良犬たち、地平線がみえるような大陸に生まれていたら、もしかしてイキイキしてたのかもしれん」と思った。少なくとも野良犬とは呼ばれていないだろう。野生の老犬だったのだろう。
0すみません。打ち間違いがありました。 子供の午前中→子供の頃
0こんにちは。 老犬を年老いた人とも重ねて読める詩だと感じます。 鋭い言葉で綴られていて、その力強い詩の感覚が老いの過酷さを重く巧みに描かれていると感じます。
0三行ずつの進行は、「序破急」の進行とも言えます。 〈足元に映る錆びた自分を追う〉この一行がとりわけ素晴らしいと思いました。 逆に、確かにその通り、なのだけれども、それを見て、語り手はどのように感じたのか・・・ということを知りたくなるのが、たとえば〈瞳はやつれて潤んで見える〉というようなフレーズ。なんとなく、水が干上がりつつある沼が、月夜に不気味に照らされている・・・そんな深さや澱みを感じさせる目、であったのでは?と感じるのですが・・・瀕死の飢えた狼の眼、というような表現をした詩人がいましたが、なにかそんな、びしっと決まる比喩(錆びた自分を追う)が、あともう少し、あればどんなに良かったか、と思いました。 三浦さんは、野良犬のイメージを重ねているけれど、〈息荒く手綱に寄り添うように〉とあるので、引き綱(リード)に引きずられるように足を運ぶ、老いた飼い犬、ではないでしょうか? 森田さんが読むように、全体が老いた人(かつて、社畜と呼ばれることもあった、会社人間)の比喩にもなっているような作品だと思います。そう読むと、〈地平線〉は実景ではなく、見果てぬ夢の行き着く先、ということになるでしょう。そこに行くまでの体力が、もう自分には残されていない。それでも一歩一歩、大地を踏みしめていく。もうすぐ訪れる闇(死の世界)から吹き寄せて来る風は、生まれた時に感じていたような、新鮮さを失っていない・・・そんな風がまた吹き寄せて来る〈懐かしさ〉に励まされて、歩みを運ぶ。 朔太郎の犬、三好豊一郎の犬・・・詩人たちが描いてきた犬にもイメージを重ねつつ。
0三浦果実さん、森田拓也さん、まりもさん、こんにちは。 本作に御感想や御批評をくださり有難うございます。 私自身が老に足先を突っ込んでおり、残念ながら今夜はエネルギー切れです(笑)。 また、ゆっくり読ませていただき、改めて御礼を書かせてください。 併せて、私に理解できるかわかりませんが、皆様の作も拝読させていただこうと思います。 今夜はこれで失礼致します。 申し訳ございません。
0三浦果実さん、こんにちは。 拙作に御感想をくださり感謝致します。 おっしゃるように、犬に対する印象も、空間と時間により異なっているかもしれませんね。 私の場合は、60数年ずっと都市部に住んでおり、出会う犬は過去も含めて100%飼い犬です。 加えて、少し前までは、出張等の機会に多少見聞を広めていました。 野良犬も元は飼い犬でしょうから、可哀想と思いますが、それも人間の発想かもしれませんね。 いずれにしても、上記を踏まえて、私の心に住んでいる犬の一頭を描いたものと御理解ください。 私の書き込み不足が、わかりにくくしている原因かもしれません。 今後の参考にさせていただき自分なりに頑張ります。
0森田拓也さん、こんにちは。 他サイトでもお世話になっております。 拙作に御感想をくださり感謝致します。 年老いた人とも重ねて読んでくださったのですね。 とても嬉しく思います。 年老いつつある私が書いておりますので…(笑)。 過分な御感想であり恐縮です。 御感想を参考にさせていただき張り切りたいと思います。
0まりもさん、こんにちは。 拙作に御感想をくださり感謝致します。 本作につきましても細部まで詳細丁寧に読んでくださり本当に感激です。 (『四番目の息』も御評価くださり有難うございます。) ほとんどまりもさんのおっしゃるとおりです。 短い詩ということもあり、もっと表現を吟味しなければならないと思います。 参考例として挙げてくださった二人の詩人の犬を読んでみました。 今頃読んだのかと呆れられそうですが、やはり詩としての言葉の鮮度が全然違います。 言葉の日常を破らないと詩に力が出ないと感じます。 大変勉強になります。 引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
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