彼女は雨が好きだった。
いつも窓辺から外を見ていた。
「君は雨の何が面白いの?」
僕はずっと疑問だった。
雨の何がそんなにいいのか。
身体は冷えるし
メガネは濡れるし
反対車線の自家用車から水飛沫が飛んで危ないしで、僕は嫌いだった。
何より、雨の日くらいは僕のことを見て欲しかった。
「雨の日はね。気分が落ち着くの」
そんな言葉に意味は無いとは思っていた。
そんなにぼくたちは相容れないのだろうか。
僕の好きな君は、僕の嫌いな雨が好き。
君が好きな雨は、僕が1番嫌いな天気。
大気圏から出現した白銀の化け物は
君を狙って涎を垂らしている。
僕にはそうとしか思えなかった。
質素な容器の中で君だけ輝いている。
僕みたいな地味な食品に比べて
君だけが天然の美しさを備えていた。
今日はおあつらえ向きな雨の日。
空きっ腹な化け物には素敵なプレゼントを贈るとしよう。
僕という調味料をふりかけて
君をもっと際立たせてやる。
そのために、まずは指切りをしよう。
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 971.5
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作成日時 2020-11-30
コメント日時 2020-12-01
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 22時43分58秒現在
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雨男とか雨女という言葉を思い出しました。
1コメントありがとうございます。 Twitterの書き出しと終わりが決まっているお題でやったんですが、終わりの指切りまでどう繋げようか悩んでたらこうなりました。 読んでいただきありがとうございました。
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