作品を読む
選評文ー『着順は知らない』
この作品には良い点が大きく分けて、三つあると個人的に思う。 ①短いながらも、起承転結のある凝縮したストーリー(映像感覚)があり、まるでショートフィルムを見させられているかのような感覚になること。 ②短いため、作品の"余白"がひろい。読者の想像を刺激し、細かいディテールや、この先の展開などに、独自の解釈を加えることが可能だ。 ③人と人との関係をうまく描いている。この二人の関係性ははっきりとはわからない。しかし付かず離れずのような風通しの良い人間関係が描かれている。ターフビジョンでの再会は偶然、きっとそんな偶然に多く左右されるであろう我らの、"必然"を拒むかのような世界観が示されているとまで言及したら大げさだろうか。 そして少なくない方が、"着順は知らない"とのタイトルの良さに言及されている。③のことも絡むかもしれないが、やはり、何着でも気にしないよという、わかりやすい成功みたいなものに拘らない姿勢が(虫を殺すでもなく、電球の交換をできるようにすることでもなく、彼は騎手という道を選んだ)、自分らしく生きるということが作品をとおして表れているとぼくは思う。
選評文ー『着順は知らない』 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1308.7
お気に入り数: 0
投票数 : 1
作成日時 2020-11-20
コメント日時 2020-11-22
批評文の書き方について、学ぶことが多々ありました。何かを話すとき、最初にポイントが何点ありますというと、他人は聞く耳をもつ傾向にあると、いま調べたら出てきて意外でした。改めてありがとうございます。
0