中層を漂う大気は
浮かぶことなく
沈むことなく
逆転することなく
巡る季節の狭間に
移りつつあり
変わりつつありながら
ごく僅かずつ動いて去りゆく
「時」に抗い「今」を顕す
この大気の纏う薫りは
心に刻み込まれ
己が一部となりつつも
刹那に現れ刹那に消える
幻にも似て
浮かぶことなく
沈むことなく
決して逆転することもないままに
中層を漂う大気の
ごく僅かに変わる震えの
隣り合う刹那と刹那が
微かに触れて伝わる
幻にも似た反射光の色彩が
区切られるように見えた
この世界を彩る境界の詳細は
線を成さず
線に在らず
浮かびも沈みもせず
逆転もしない
微細な界の囁きのように
幽かに伝えられてゆく
「今」と「時」の
二つの色彩がせめぎあう静寂の中
線を成さず
線に在らぬ
巡る季節の狭間の刹那に
この全ての感覚を経て
心に刻み込まれる
中層を漂う大気の震えは
わたくしの魂を
またこの季に
変容させて
溶け合うように見えながら
溶け合わぬ季節の色彩は
線を成さず
線に在らぬ
幻にも似た季に薫りたつ
己が一部となりつつある
変容する魂の相貌を
垣間見せるも
変容しつつあるのは
わたくしの魂か
この季節の魂なのか
夢と現との狭間に漂う
小舟のようなわたくしの心
浮かぶことなく
沈むことなく
逆転することもない
中層を漂う大気の中で
躊躇うように揺らめいている
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 911.3
お気に入り数: 0
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ポイント数 : 0
作成日時 2020-11-14
コメント日時 2020-11-14
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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閲覧指数:911.3
2024/11/21 22時57分01秒現在
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"全集中" なる言葉、セリフを想起させるようでした。観念の上では陰陽の思想に近いものになるんでしょうか。見えない気と人間の心と。観えないものでつながりあい交じり合う様を思いました。
0滔々と流れて行く感じ、読める感じがいいと思いました。大気が主題として定置される。己が一部。刹那の顕現。幻なのか大気は。この世界を彩る境界。境界に線はない、線を成さず、線にあらずと。心に刻み込まれる中層の大気。季節の色彩。季節の移ろいの中で中層の大気の中で揺らめているわたくしの心。季節を体現しているのかもしれないわたくしの心。
0エイクピアさん コメントをありがとうございます。 この詩の、線に在らず、線を成さず、という部分は、自他の境界の曖昧さ、いわゆる自他不二ということや、華厳経のインダラ網と喩えなどを念頭に書きました。
0湯煙さん コメントをありがとうございます。 この詩ではまた、中層を漂う大気の内に、時間の流れを微分するかのような、刹那滅や連なりながら時々なり、といったようなことを感じて、書いた面もあります。
0(宛先訂正) エイクピアさん コメントをありがとうございます。 この詩の、線に在らず、線を成さず、という部分は、自他の境界の曖昧さ、いわゆる自他不二ということや、華厳経のインダラ網と喩えなどを念頭に書きました。
0(宛先訂正) 湯煙さん コメントをありがとうございます。 この詩ではまた、中層を漂う大気の内に、時間の流れを微分するかのような、刹那滅や連なりながら時々なり、といったようなことを感じて、書いた面もあります。
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