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雪国
北へ向かうガラガラの列車に乗って 遥か彼方の雪国まで逃げて行くところ 身体に染みついたキミの記憶を凍らせて粉々に打ち砕いてしまおう 銀色に輝く氷の星のような寒い寒いあの雪国では 吹く風も千本の針のようになるから僕のすべてを痛めつけに行こう 在庫処分のカートのなかで束ねられた傷んだ果実みたいに出会った それは最高の喜び 神様の存在も信じられたような気がする いびつな純な思いが 潰れた無垢な気持ちが 腐りかけの愛情が 瞳のなかで溶けて混じり合って狂った灰色になった あの日、同じ色を見つけたら 前世の記憶も泣き出すほどの喜びも知ったけれど またキミを完全に見失ってしまったようだから ただ冷たい死体になった身体を引きずって 氷点下の雪国まで列車に揺られて行こう あの駅まで辿り着けば捨て場所もきっと見つかるはず それまでは降りずに 諦めずに 行かなきゃ 辿り着かなきゃ 目の前の世界が粉々に割れてしまうほどの醜い執着心でキミを見ていた ずっとずっとキミの喜ぶことだけしていたいと思っていたのに… たのに、たのに、なのに… 腫れあがった狂気と思い上がったやさしさでキミを苛立たせたから 僕を捨てに行こう すこし眠って目覚めたらきっとあの銀色の惑星 降り立ったら キミが触れた髪もバッサリ切りに行こう 知らない街の知らない美容院で知らない人と話をして もう二度と来ることのない場所に大切にしていたなにか置きざりにしていこう 小さな雪だるま作って手を合わせてお祈りしたら 帰りはきっともう淋しくはない
雪国 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1251.0
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 4
作成日時 2020-11-13
コメント日時 2020-11-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
東京で働いていましたが、現在諸事情で北海道に居る私にはしみじみと来ました。こちらの雪は寒いです。嫌な記憶も凍って仕舞えばいいのにと思ってもなかなか凍ってはくれません。私をここよりももっとどこか、遠くの雪国へ連れて行ってくれる人が居ないか願うばかりです。
0失恋の純な気持ちが伝わる詩だと思いました。 でもさいごの詩句で、つぎの恋愛を思う気持ちがあらわれているなとも思いました。
0マイナス20度くらいになると、空気が本当に痛いのを思い出しました。 そういう零下の夜、森で一人でいると本当に。 そんな時の心象風景に思えました。 自罰行為かと思える内容ですね。 立ち止まれた、立ち返れる、とも。
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