以後語るべきもの挿入以前挿入挿入以後の三部からなる語るもの語られるものと
主体は語り手即ち挿し入れる方として挿し入れられるほうは語られるものとして
語るもの視るだけで挿し入れて十分と確認とれるほど隆起が山の上のいただきで
服の上から触り合うすぐには肉体のふれあいはない焦る気持ちや相互のやりとり
語られるものではなくここでは語るもの早くと抱き寄せ接吻を強め仕掛けていく
口内では舌の絡み合いならぬ舐め合いなら間合い空間の取り方探り合い見出せず
諦めて語られるものの服剥がしにいく剥がしにいきながらも服の上から触る触る
剥がすのを中断して服の上から揉むことしばらく相互に声も次第に響いていくか
隣の部屋にはまだ聞こえていない薄壁の向こうまだ布団に横になる意識は冴えて
揉むこと飽き飽き剥がすこと今度は素早く行う剥がしたあと今度は下着の上から
繰り返しの作業に飽きたついに肉体をあらわにするどちらともなく電灯が消えた
ぺたぺたと抱き合い虫のようにいや尺取り虫かなにか全く動きは予想できないか
指を入れることはなく語るものの突起物が触られ舐められ硬さを増していく記録
語るもの口から語る語られるもの頷き準備態勢にそれは決められていたかのよう
原始から繰り返される体勢が再現され隣の壁には耳声も動きも音をたてはじめて
ゆっくり挿し入れるが入ってしまえばあとは流れに乗るのみ上下に揺れて出ると
早漏さながらの十回目の運動での発射語られるもの時間差で気づくあっというま
語るもの尽き果てて横に横になる語られるもの嫌悪の表情でそれをみつめ続ける
ドロと流れ出ていくのは挿入の証しこの相互関係が解けても何かに変わるかもか
壁に耳あり障子に目ありの隣人も手でしごいて発射それは語るもの以上の快楽と
話すこともなく浴槽に向かい事は終わるこのあとは汚れた布団の処理が待ち受け
語るもの帰り語られるもの呆気にとられ陰部の違和感いまだにとれないもう寝る
作品データ
コメント数 : 9
P V 数 : 2018.0
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2020-11-09
コメント日時 2020-11-14
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時19分04秒現在
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単なるポルノではないと思います。短歌的な調子で、ペニスが踊っている。一首目の几帳面な前中後の区分け。二首目のフラットな二分法。必ずしも男女と言うニュアンスではないと思います。三首目山の上の頂と言うと高村光太郎の詩、レモンを思い出します。山巓と言う語ですね。昔山巓でと言う詩語。二人は山登りを二人してやった頃があったのでしょう。四首目、二人のスキンシップ。五首目、男主体と言う事か。六首目、前戯ではないですが、ディープキスでさえエイズに感染する恐れがあるなかでの高度な信頼関係。七首目、女主導の騎乗位か。八首目など。ちょっと勘違いしている側面があるのかもしれませんが、繰り返し言えば、あまり男女にこだわらない解釈が要請されているのかもしれません。
0なるほど、言われてみて初めて男女に限定されてはないということに気がつきました。ベケットの「事の次第」からインスピレーションを受けたのですが、もちろん本家には遥か及ばず、それでも、「単なるポルノではない」とのお言葉、嬉しく思います。
0とても嫌な雰囲気がよく表現されていると思います。 また、言葉数が全て揃えてあることにも何とも言えない凄みを感じます。 個人的には語られている対象を非常に好んでいるだけに、不幸だなあと思いつつ楽しく読ませていただきました。
0>とても嫌な雰囲気がよく表現されていると思います。 ありがとうございます。 タイトルからして敬遠されがちだとは思いますが、こうやって向き合ってくださる方がいて良かったです。
1良い詩とのお言葉ありがとうございます。 >セックスも触れずに、見つめ合うだけで、良いところへ行けるくらいの、時間と余裕と気持ちがあれば良いなぁと思いました そうですね。次はそういうのを書きたいかもしれません。
0詩と読み手と、作者と作品と肉感的に入り乱れて巻き込んでいく流れが面白く感じられました。
0ものごとを直線的に解釈するばあいのほか生じ得ない“記録”ということばは、庭先にようやくはえてきた苔をも一掃してしまう、月曜のあさ妻たちが手にとる高圧洗浄機のような暴威だ。とはいえ作中の記録的な状態をどうこういうつもりはない、なぜならばきっとだれにでもそうした硬さをもつときがあるのだから。海や大気が一日として同一の顔を見せないのとおなじく、よく観察すればあの硬さはそのつどわずかな違いがみとめられるのだろう。どうでもいい。ほんとうに。ただ、語られるものがよほど男好きのする躯であるのは想像に難くない。“記録”という、本作の筆致に似つかわしからぬことばと薄壁をへだてた隣人の行為とが原初的なぶぶんから想像力を掻き立てる。このくだりで、読者が一番硬かった過日のその状態を、ふたしかな身体感覚として、みじめったらしい憧憬をまじえて追憶したとしても自然なことにおもえた。 三十一文字ならぬ“書きことばでの三十六文字”という初見の配列が、平仄をあわせるつもりなど毛頭ないといわんばかりの(しかし実際あわせてはいる)書きっぷりとあいまって黴臭く不気味でした。
0読み手を作品に巻き込むことが少しでもできたのなら良かったです。 どうもです。
0>記録”という、本作の筆致(読者の勝手なおもいこみにすぎない)に似つかわしからぬことば ぼくにもその自覚はあって書いているときは自然と出てきた。ところが直後、そして読み直すと違和感甚だしく。しかし「記録」が>よく観察すればあの硬さはそのつどわずかな違いがみとめられるのだろう。 そう、そうかもしれないと思いつつも、>どうでもいい かと相反する思考。>薄壁をへだてた隣人の行為とが原初的なぶぶんから想像力を掻き立てる。このくだりで、読者が一番硬かった過日のその状態を、ふたしかな身体感覚として、みじめったらしい憧憬をまじえて追憶したとしても 記録、記憶、追憶そんな作用を読み手にもたせたとしたらとてもいい。そんな思いが上回ったのか、rさんの言葉によりおこがましくも良好なものとして映り出している。とにかくすごいのは、たった一語を完全に見抜かれたということであって、子供のように驚いている。字数をそろえたのは無意識に近いが、五七調でないところはある意味病的かもしれない。とにかくとても良い感想でした。どうもです。
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