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無意味なワルツ
右手の黒い指輪は輝くことなどないくせに存在感だけは一人前だった。胸の中央にある灰色の1番星も、ただ燻んでいるだけだった。アンバランスな靴底のすり減り方にイライラしていたけど、靴を片方ずつ売って欲しいなんて本気で思ったわけではない。しゃがんで靴に話しかけていた僕に、「Shall We Dance?」と言いたげな手を差し伸べる君の所為で、靴のことなど随分前に忘れていた。 僕の手を引く君の歩調は三拍子。木漏れ日がふいに騒がしい。君のポニーテールもワルツには似合わない。「ねぇ、踊っているの?」僕は気分が良いと両の腕を揃えて振る癖があって、それがよほど間抜けに見えたらしい。 森と呼ぶには少し小さな木々を抜けた先で、昨日窓際で眺めていた金魚鉢のことを思い出した。水面に映るキラキラはきっとこのくらい眩しかったんだろう。そういえば彼も胸びれを揃えて振っていたな。木陰に腰掛けているのに妙な浮遊感があった。「ねぇ、踊らないの?」そう、そうやって手を握っていて。ああ、ずっと浮いていられたら靴を買う必要なんてないのに。
無意味なワルツ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1246.5
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ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-29
コメント日時 2020-09-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文