未開の故郷 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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未開の故郷    

鼓動に命の寒暖が宿るとき、静脈に草木が生い茂る。 真昼の光は、深夜を根拠にして、果実の中に生まれる。 貴方と私が見つめている野に、 私達は見たことのない花の香りを観ている。 このページの文字も、言葉に連絡しない記号、 過ぎ去る前に、過ぎてゆく廃線の駅の時刻表。 脈打つ心臓の周りをヒタヒタと、 季節に蓋をしながら歩く記憶は、既に此処には無い。 生と死の距離の間は、詩情に埋め尽くされていると謂うのに、 詩は、縫針に生糸を通す間は実らない。 触れろ!魂で、私に許された、今の限りを引き寄せ、 そして見守られるべき、翼が羽ばたく限り、高く、 想像の至る宮殿から、降り注ぐ雨の一粒に溺れる、 作為の故郷。 繰り返す波を繋ぎ止め、光で銀を包みこむ、 凝視のあらゆる角度、方向の、繰り返すところ、 朝を輝かせ、宙に舞う凝視! 心の景色に写り込む神々の静けさを、奈落の底の岩の禁欲を、倒木を土に還したように、 まるで、その人が歩いている。嗚呼、その人がまるごと知恵のように歩いている。 聳え立つ希望を夢に燃やし、焦げ付く眠りは大地を恵む雨、 堆積する歴史の頂上に、聳え立つ感覚によって、 吹き荒れる風によって、太古の思想が音の意味を汲み上げ 甦らせたように、氷河に悪意を閉じ込め、体温から罪を奪い、 沈殿のように、花の純粋は雄弁を語らない。 詩情は香り、詩はその根を支え、寄せては返し、咲いては散り、濡れては乾き、生まれては死に、魂が尽きることはない。 未開の墓地は海底深く、文字の故郷に沈み、生態系を構造する。精神を手術する外科医のように、昼を太陽に晒し、月に夜を浴びせる。光は口の中に解けその甘味を、胃は知らない。 もしそれを精神の不在と言うのならば、私は沈黙する栄養分になろう。目覚めを待っている、雨の一粒に、嗚呼、私は果物を見詰めることで、世界を味わっているのだ。



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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1020.8
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投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2020-09-26
コメント日時 2020-09-26
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/09現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1020.8
2025/04/09 15時36分20秒現在
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