鼓動に命の寒暖が宿るとき、静脈に草木が生い茂る。
真昼の光は、深夜を根拠にして、果実の中に生まれる。
貴方と私が見つめている野に、
私達は見たことのない花の香りを観ている。
このページの文字も、言葉に連絡しない記号、
過ぎ去る前に、過ぎてゆく廃線の駅の時刻表。
脈打つ心臓の周りをヒタヒタと、
季節に蓋をしながら歩く記憶は、既に此処には無い。
生と死の距離の間は、詩情に埋め尽くされていると謂うのに、
詩は、縫針に生糸を通す間は実らない。
触れろ!魂で、私に許された、今の限りを引き寄せ、
そして見守られるべき、翼が羽ばたく限り、高く、
想像の至る宮殿から、降り注ぐ雨の一粒に溺れる、
作為の故郷。
繰り返す波を繋ぎ止め、光で銀を包みこむ、
凝視のあらゆる角度、方向の、繰り返すところ、
朝を輝かせ、宙に舞う凝視!
心の景色に写り込む神々の静けさを、奈落の底の岩の禁欲を、倒木を土に還したように、
まるで、その人が歩いている。嗚呼、その人がまるごと知恵のように歩いている。
聳え立つ希望を夢に燃やし、焦げ付く眠りは大地を恵む雨、
堆積する歴史の頂上に、聳え立つ感覚によって、
吹き荒れる風によって、太古の思想が音の意味を汲み上げ
甦らせたように、氷河に悪意を閉じ込め、体温から罪を奪い、
沈殿のように、花の純粋は雄弁を語らない。
詩情は香り、詩はその根を支え、寄せては返し、咲いては散り、濡れては乾き、生まれては死に、魂が尽きることはない。
未開の墓地は海底深く、文字の故郷に沈み、生態系を構造する。精神を手術する外科医のように、昼を太陽に晒し、月に夜を浴びせる。光は口の中に解けその甘味を、胃は知らない。
もしそれを精神の不在と言うのならば、私は沈黙する栄養分になろう。目覚めを待っている、雨の一粒に、嗚呼、私は果物を見詰めることで、世界を味わっているのだ。
作品データ
コメント数 : 0
P V 数 : 962.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-26
コメント日時 2020-09-26
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:962.8
2024/11/22 03時39分53秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。