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外れた社会から
誰も死なないRPGなんてのを手に取って、やる事も無い明日を跨ぐつもりで始めた。明け方になってクリアした時に思ったのは、死んだ方が誰もが救われてたって事。どんな目に遭っても生きなきゃ駄目なのかな?どんな事をされても許さなきゃ行けないのかな?このゲームのエンドロールを見つめながら思う。僕には自殺の否定なんて出来ないし、無差別じゃなければ殺人も許せそうだ。お日様が顔を出してる時にこんな事を考えているのは、世界で僕だけだろうなと根拠のない自信がある。プレイしていて、無情さに涙は出なかった。酒を飲んだから水分がきっと飛んでいたんだ。コイツの存在なんてさっさと忘れてしまいたい。中古ショップで引き取ってもらおう。価格はまだ新しいからそこそこだろうな。値段が付かないって事は無い。だって一月前に出たのを買ったんだから。 堕落した気持ちのまま迎えた朝方。夜のひんやりとした空気が、絞られた日差しに射抜かれている。僕は寝不足で重くなった老廃物がドロドロと循環している身体を引きずる様に歩く。太陽を浴びて、内側にへばりついた物がベリベリと剥がれるイメージが散歩中に広がる。朝一の尿を名も知らない草花に引っ掛ける。濾過されて出た、疲れきったオレンジの色。瑞々しいその姿に引っ掛ける。脂っこい物を食べ過ぎたのが分かるくらい濃いものを。そんなものでも草花は土から汲み上げて育つのだろう。 散歩から帰って来たら、昨日沸かしたままのお風呂に追い焚きもせずに浸かる。小窓から溢れるまだ紫の空模様を眺め、朝から生き急いで鳴く小鳥の囀りを聞きながら。そしてナマケモノみたいな動きで、爪先から太腿へと身体を揉み解していく。縮こまったままの筋肉、張りっぱなしの筋肉を揉み解していく。次に指先から首まで身体を揉み解していく。縮こまったままの筋肉、張りっぱなしの筋肉を揉み解していく。お湯と身体が一体化するまでずっと。 風呂上がりには空は白っぽい水色、朝からインスタントラーメン、そして似合わない冷たいコーヒー牛乳。食べ尽くして、カーテンを閉めたまま、澱んだ部屋の窓を開けて部屋を蘇生させる。その中で沈むように眠り、夕方に起きる。
外れた社会から ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1227.4
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2020-09-25
コメント日時 2020-09-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
良くないよぁ…でもぉ…うーん…みたいな人間を詩にしたいと思っており、私の中では脱却の可能性はなかったのですが、コメントを読み前向きな可能性が見えました。気付かせて下さり、ありがとうございます。
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