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M博士
「青色のジンテーゼについて」 の論文を書いた学者は 名前をM博士という 教育を受けていない博士は 無限大の計算にいつも 金属瞳電子演算機を使っていたらしい 同級生という文字のクオリア ギリシアのペンフレンド…… 信心を持つことは容易ではない 親しい友人のいない博士が 時に二本の坂道に渡した鉄橋を見て 心を慰めたりすることは ますますその身体を地表から遠ざけただろうと思う (彼は射殺される土星の子供たちが自分自身であることを恐れていた) もっとも垂直であることは彼の誇りだったから 博士はそのままロケットになるのを 密かに期待していたに違いない 同級生という文字のクオリア 近頃は爬虫類の肌質の夢ばかり見る M博士の行方はよくわからない 本当に土星に行ったのかもしれないし 16平米のアパートで ありきたりになった憂鬱と同居しているような気もする 僕はあの遠くの落下傘が 射殺される土星の子供でないことを祈っている それが博士の為なのか 僕の為なのかはわからない
M博士 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1593.0
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2020-09-23
コメント日時 2020-10-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
青色のジンテーゼや金属瞳電子演算機など,語のチョイスが個人的に好きです。昔のアンティーク調の博物館や実験室のような趣を勝手ながら感じました。 そのせいか全体として「僕」から博士に追憶を捧げているように思いました。友情に惹かれながらも垂直に生きる博士の姿に,自分や昔の友人知人に重なるところを見出してしまいます。この詩の読後感は,彼らのことを思い出させます。
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