目の前に並ぶ紙切れ
もはや文字の羅列でしかないそれらを手に取ることはしない
いっそのこと全部びりびりにしてしまおうか
そんなことしなくても、もうすっかりみんな傷だらけ
私がみんなを傷つけた
みんなの中からあらゆるものを奪ってやった
それでも私の不安はぬぐえなくて
依存症みたいに君を握りしめていた
時には私はみんなの体にペンを走らせた
そうするたびに、みんなは私だけのものになっていくみたいだった
ボロボロになるみんなを見るだけで誇らしい
みんなは私の努力の結晶なんだよ
それなのに、うまくいかない
どうして
どうして
こんなにも頑張っているのに
誰も私を認めてくれないの?
涙の夜だって、私はみんなを忘れたことはない
それでも、今日だけ、今日だけは、ひとりにさせて
次の日も、みんなはいつもの場所で私を待っていた
さあ、今日も始めよう
あと少し。あと少し。
私が桜の門を通るまで。
追伸
四月、桜の下で君と出会う。
始まった。私の新しい人生が。
私のもとを去ったみんな。
今年もたくさんの人がみんなを手に取る。
どうか努力が報われますように。
作品データ
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作成日時 2020-09-22
コメント日時 2020-09-23
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 23時10分06秒現在
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自分は受験勉強の経験がないので、「みんな」が参考書とかだろうか、と曖昧な想像しかできないけれども、知識を蓄える、勉強をすることを「奪う」と表現するのは面白いと思いました。 「紙切れ」だったり「みんな」だったり「ぼろぼろ」だったり「努力の結晶」だったりするのは、それだけ過ごした時間が長く思いが積もっているからでしょうか。 なんだか付喪神を思わせる詩でした。
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