テレビ - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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テレビ    

昔、あらゆる窓の外で顔が見えた 同時期にあらゆる海岸で橋が繰り出されたので 画面に身をよじらせて ここから出たい と悶えていたことや、青い畑の真ん中に 立っていたことも忘れてしまった そして橋が架かった後も アイラキ町を歩く人はみな濡れていた 階段に座り込む男 弁当屋の下で声を張り上げる女 目隠しを付け談笑する男たちはどこへ行ったのだろう 1999年、すべての路地を知り尽くしても アイラキ町の人はみな濡れていた 橋の下のバス停で寝る老婆 天啓を受けて道路を走り回る学生 叱られる度に内側へと窪んでゆく幼児 人は補い合って互いを湿らせていた 実にあらゆる窓の中でそれは行われた 丸い画面に身体をよじらせる人を ここから出る人を支援する団体が立ち上がり 同時にそれを阻止する団体も立ち上がる それでも橋の下を流れる川には蒸発するものが無いので 町を動かないものが先送りにされた ときには歴史も先延ばしされたことで テレビへ入り込んだ人にも一部余裕が生まれたので 団体の人員も何人か未来へ送られ 道路の半分も未来へ引き延ばされた 塗れていた人々も大部分は先送りされたが 小数は留まることになった やがて人は光の中へとかぎりなく縮退した (当時の整備は杜撰なもので 光はどこにも反射しなかった) きっとこのバスからは降りない あまりにもここは雨で濡れているし、窓の外ではいまだに住人が 額をこすりつけてここから出ようとしているのに そしてもうアイラキ町と名の付くバス停など無く 粗い光を浴びた人も 青い畑に座っていた自分もここには居ないのに、 気が付くと私は濡れた窓に額を付けていた どこにもいない人達に本当は会いたかった のだけど、 ここから見えるのは濡れたままの家々ばかりだ


テレビ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 2291.9
お気に入り数: 3
投票数   : 0
ポイント数 : 43

作成日時 2020-09-21
コメント日時 2020-10-04
#現代詩
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性1313
前衛性00
可読性00
エンタメ1111
技巧1212
音韻00
構成77
総合ポイント4343
 平均値  中央値 
叙情性6.56.5
前衛性00
可読性00
 エンタメ5.55.5
技巧66
音韻00
構成3.53.5
総合21.521.5
閲覧指数:2291.9
2025/04/10 01時54分49秒現在
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    作品に書かれた推薦文

テレビ コメントセクション

コメント数(2)
鳴海幸子
作品へ
(2020-10-03)

ライトレスです。いつもみな濡れてるっていう非現実的な説明をすることで、逆にアイラキ町の匂いをのっぺりとしたままに伝えられてるのかと思いました。何よりとにかく、いつもみんな濡れてるっていうのが好きです。 >気が付くと私は濡れた窓に額を付けていた >どこにもいない人達に本当は会いたかった

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鈴木歯車
鳴海幸子さんへ
(2020-10-04)

「濡れる」という語を入れ過ぎた気がしないでもないです。

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投稿作品数: 1