O.D Rabbit - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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O.D Rabbit    

空に穴、未来はそこから、光速よりも速いスピードで! 僕だけが留守の家、お父さん、お母さん、姉妹もみんな眠りの淵の時間に、無人の部屋目掛けて落ちてきたのはジェット機のエンジン部分。鈍く光るシルバーのボディーが何層にも重なった板を貫いて落ちてきて、落ちてきた! 翌日、僕らは有名人になったけど、そんなことはどうでもよくて。 「世界が終わるんです」 催眠にかけられて、気持ちよくなった僕は、もっと気持ちよくなりたくて、笑いながらベルトを緩めたんだ。 ヘンテコなライオンの銅像にいつも座っている不幸者のあいつは何をやってもダメだ。 定期的に通院していて、相談役の先生が付いている僕にだって、わかる。あいつは差別されているし、家族からもクラスメイトからも煙たがられている。それは、オレンジの容器に入っている強い薬を飲んでいる僕にもわかる事実だった。 にやけが止まらないよ。Fから始まる言葉を言ったら大人たちは両極端の反応をする。きみの名前もFから始まるけど、きみは誰にも見えないみたいだ。表情が見えない。ああ、なんてことないさ。 神の使いみたいに金をせびってた男は、信者を増やして精神支配に着手する。支配は教師やPTAから始まって、僕ら生徒にも魔の手は伸びる。学校に来て講演会を行い、10代のやわな心を手に取って、求めてないのに救ってるような、そんな顔して、堂々と名前をつけてマルとバツに分ける。枢機卿みたいに優しい言葉をかけて、被害者ぶる。僕には全部お見通しだった。 「きみもそうだろ?」 変態は自画像と貼りたがるし、鹿の頭を壁に飾りたがる。ホラー映画のレイトショーで、僕らの顔は血や夜に照らされて、微睡む女ひとりを挟んで互いのことを話し合った。ガソリンを撒いて、火をくべるんだ。フードをかぶって、衝動にまかせることは必ずしも悪じゃない。しあわせな気持ちはずっと続きはしないから 「やぁ、きみか」 ほらね。世界の終わりまで頭の中で100本の指を折るよ。僕の名前が赤く塗られて、 「先生、神さまには偽物が多すぎるね」 負け試合が放送されて、苛立った男たちは酒を飲んで忘れることができるからしあわせだと言える。 胸のあたりから、半透明のミミズみたいな、蛇みたいな、ヒルみたいな蠢きがゆらゆら、ゆらゆら(水みたいに)くねくね、動いて、あとから体は付いてくるようだね。ぼくには見えるよ。先生、あなたは職を失ってしまったみたいだけど、 「かわいそうに」 付け羽は真っ白で豚は舞う。笑われるために、踏まれるために。イカした音楽に夢中になっている間に、家は燃えてエセ宗教家は児童ポルノで捕まった。 「ざまあみやがれ!」 先生、婚約前の男女だけど、キスをしました。舌を入れて、彼女のあそこに手を入れました。濡れた指で舌で舐めとって、チャックを下ろしてベルトを外した。彼女の髪はくしゃくしゃになったけど、何事もなかったみたいに外に出たら夜で、散歩に行こう。このあと、きみが死んでしまっても。銃声は、僕の手から放たれたものだ。片目を失ったのは、きみじゃなくても、翌朝にはパトカーが、トルネードが、留守番電話で、 「愛してる」 って。あいさつみたいなものだね。白痴の弁と、タイム・トラベルの哲学へ、ノックノックノック。 何回も郵便ポストを覗いて、その度に轢かれそうになりながらも地下室への扉は死守していた。あなたの意思は、予言になって。僕の行動哲学に基づいて(それすら理解はされなかったけど)銀のチューブが僕の顔面とぶつかって、飲み込まれて一つになったとき、僕の顔の輪郭は、シルバーサーファー・カラーでうねうね脈打ち波立ってのたうち回った。終末思想は妄言の文脈で読み取られて、処方。鏡に向かって、何度も何度もナイフを突き立てて、きみの目はどんどん広がっていくけど、会話はうまく成り立っていたような気がする。邪魔が入るまでそれは続いたし、僕はしあわせに違いない。お父さんの寝室、そのクロゼットの下にハンカチに包まれた銃を見つけたから、たぶん、どこかの場面で発砲することになるだろうと覚悟した。 「誰も死ななければいいなぁ」 誰も死なないで、世界が終わればいいし、あわよくば生まれ変わりたいから、今夜はどこにもいかずに眠るね。 巻き戻し、巻き戻り、ヘッドライト・テールライトの赤色の逆走、おたまじゃくしは卵に戻って、僕の部屋に真っ逆さまに、空が割れて、穴。 そこからシルバー・ボディーのジェット機のエンジンが! 幾重にも重なり合った板をブチ破って落ちてきて、砂埃が舞って家族は起きて、凄い振動が急速に夜を朝にして、家の前にはたくさんの人だかり。 通りすがりの彼女の目に映るのは知らない男にかけられた真っ白なシーツ。死体だろうね。君が手を振るのは僕じゃない、僕じゃない。お母さん、そこで煙草を吹かさないで。何も見ないで、誰にも手を振らないで。お願いだから、僕は、 「僕はしあわせだからさ」


O.D Rabbit ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 1
P V 数 : 1266.8
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2020-09-12
コメント日時 2020-09-13
#現代詩
項目全期間(2025/04/14現在)投稿後10日間
叙情性00
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叙情性00
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2025/04/14 17時43分00秒現在
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    作品に書かれた推薦文

O.D Rabbit コメントセクション

コメント数(1)
mud man
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(2020-09-13)

この詩は私が好きな世界観です。全部わかってて選んだ道だからしあわせなのかも知れませんね。

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投稿作品数: 1