雨がとってもひどいもので
枕元に並べた本が少し心配になる
昔ある物書きが書いていた
君たちいいかい 本は重たいのだよ
書き手と読み手の怨念に
湿気までが加わってはたまらないと
窓付けクーラー用に開いた窓を
閉めなくてはと思い出す
あまりに腰が痛いので
医者に行くと神経痛だという
そのようなことは知っている
ただ湿気が腰骨の間に入ってきて
痛くてたまらないだけだから
わたしの悩みはただ一つ
こんなにひどい雨の中をあなたがゴミ捨てに行かなくてはならないということ
そして我が腰の軟骨が変性し
柔らかな緩衝材が
昔見た南国産樹枝の外皮のように繊維質になり
やわらかくて固い中身があふれ出してしまっているということ
その中身は私の神経をすり減らす
尻、太もも、ふくらはぎが痛み
足の裏にピリピリとしびれが走り
時につま先までもが脅かされる
ああ痛い
今年の雨は特につらい
きっとあなたと少し離れてしまって
あなたに会えないからなのではないかしらなどと
少ししおらしくなってみる
しまいに手までがしびれてきたので
このままではいよいよ枕元の本は存在意義を脅かされる
これでは読むことができないじゃあないか
雨がとってもひどいもので
枕元に並べた本が少し心配になる
昔ある物書きが書いていた
君たちいいかい 本は重たいのだよ
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 1543.1
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-07
コメント日時 2020-09-29
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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閲覧指数:1543.1
2024/11/21 22時48分32秒現在
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コメントいただきありがとうございます。 ご指摘の通り無意識に「腰」すなわち「痛い」、「重たい」すなわち「痛い」という印象を前提にしてしまっていたかもしれません。 参考になります。
0面白く読めました。本が重いのが大切さと書き手の妄念、湿気、腰の痛みであらわされていてタイトルといいユーモアがありますね。ただ雨の腰、が回収しきれなかったかなと感じます。なんて書いてみたらいいのかな。雨よ、お前にも腰があったなら、この痛みわかってくれるだろうか?この腰の痛みが去る頃におこし下さいなんて書いてみますが、ただの駄洒落ですね。このタイトル、自分でも書いてみたくなります。
1コメントいただき恐縮です。 妄念。いい言葉ですね。 ただ「腰が痛い」という事実で書き始めてしまいました。 念のため1月寝かせてみましたが腰痛持ちにとっては「雨=痛い」という図式を崩しきれませんでした笑。 次に向けていい刺激になります。 機会があれば加筆修正してみたいと思います。
0>わたしの悩みはただ一つ >こんなにひどい雨の中をあなたがゴミ捨てに行かなくてはならないということ 「あなたを思う表現」として、好きな言い回しです。 腰が痛いのはわたしで、ゴミ捨てに行くのは「あなた」。この「ひどい雨」はふつう大雨みたいのを指すとおもいますが、ここでは「非人道的な雨」みたいな捉え方もできそう。なんせ「わたし」は雨のせいで健康を脅かされているのですから。 次の連 >そして我が腰の軟骨が変性し >柔らかな緩衝材が >昔見た南国産樹枝の外皮のように繊維質になり >やわらかくて固い中身があふれ出してしまっているということ も好きです。このような表現は、やはり体感していないと出てこないと思います。自身の体験を自分なりに解釈して表現しているこのような詩行に、私は煮ても焼いてもびくともしない頑固な南国産樹枝の外皮に齧り付かずにはいられなくなります。 しかし、本当にタイトルは惜しい気がします。「腰のある」という響きにどうしても、うどん等の「コシのある」を思い浮かべてしまいます。どちらかというと「芯のある」という意味に結びついてしまい、「腰のある雨」は「意志の強い雨」という意味合いに聞こえます。雨自身に「本を読ませない理由」のようなものがある場合、このタイトルでもよさそうですが今回はそういった内容ではないと思います。タイトルの意図が読み取り切れず、そこがなんとも惜しい印象です。
1コメントいただきありがとうございます。 また返信が遅くなり申し訳ありません。書いたものが一度消え、心が折れかかってしまっておりました。実はタイトルは「印象に残りやすいものを書いてやろう」という打算の産物です。もともとは「雨」という題にする予定でした。「腰の痛いある日の雨」と書き、修正を繰り返したまましばらく放っておいたところ、「まあいいかな」という字面になり投稿した次第です。 「強い雨」というのと腰を苦しめる粘り気のある雨というような印象を込めたつもりですがもう少しつながりやすくするために何か工夫が必要だったかも知れません。 それと腰が痛いと雨がつらいのは腰痛に共通の事象なのですがこれについてももう一工夫必要だったなあと思っています。やはり何事にも地道な努力と言いましょうか、何度も繰り返す推敲作業を怠ってはならないなあと思います。 >>そして我が腰の軟骨が変性し >>柔らかな緩衝材が >>昔見た南国産樹枝の外皮のように繊維質になり >>やわらかくて固い中身があふれ出してしまっているということ >も好きです。このような表現は、やはり体感していないと出てこないと思います。自身の体験を自分なりに解釈して表現しているこのような詩行に、私は煮ても焼いてもびくともしない頑固な南国産樹枝の外皮に齧り付かずにはいられなくなります。 過分なお言葉、そして肉感的な表現、ありがとうございます。まれに想い人の頭蓋を内側から開き、背骨ごと脊椎を砕きながらゆっくりと飲み下したくなることがありますがその様な心象を思い出しました。 ともあれこのようにご意見いただけることは山月記の李徴のようになっている私にとって、とても貴重でありがたいことです。感謝申し上げます。
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