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普通
荒地に咲いた花ほどに 哀れな呼吸はないだろう 中肉中背の、 何不自由なく生きている 家族はいたって健康で 三食飯にありつけた 学校にさえ、 きちんと出ている 彼の呼吸と 類似している (彼は不幸せだった) 昨日、 息失せても 明日、 息失せても 何一つ変わらない 彼の吐いた二酸化炭素が、 荒地に咲いた花々を、 疲弊させる その速度が、 遅いか、 早いか、 遅いか早いか程の違いである 人の成功を妬み 人の失敗に酔って 己の不幸せに嘔吐した テレビのニュースで人が死んだ 代わってやりたい 目の不自由な子供が生まれた 代わってやりたい 小さな戦争で大勢死んだ 代わってやりたい 余命幾らの子供が生まれた 代わってやりたい 何不自由なく生きている 家族はいたって健康で 三食飯にありつけた 学校にさえ、 きちんと出ている 荒地とは程遠い、 ハイビスカスの綺麗な町だ (彼は不幸せだった) 荒地に咲いた花よりも (彼は不幸せだった) 彼は今日も息をして 、 まだかまだかと 待ち望んでいる プランターに水を まくのは もうやめた。
普通 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1475.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-06
コメント日時 2020-09-08
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ポジティブやシンプルに振り切った、いわゆる良い詩の真逆に位置しているかもしれませんが、だから間違っているとは言えない文学的な作品だなと思いました。衣食住満たされて尚不幸なその理由が分からないまま、同じ様に沈黙してきた多くの方が共感するのではないでしょうか。今生きている、それこそが悲劇になってしまうという絶望感は、本当に何処から来るのか、不思議です。
0お読みいただきましてありがとうございました。
0「きちんと」など 簡易な表現があえてうまく用いられていて好感が持てました。 私は難しい詩だな、と思いましたが左部さんの頭の中にはしっかりとイメージがあるのだろうな、と( )を使うあたり感じました。 良かったです。また読ませてくださいね。
0お読みいただき、また、大変に嬉しいコメントを書いてくださいましてありがとうございます。
0お読みいただきましてありがとうございました。
0読了後実力はあるのに、実力は確かなのに結果をなかなか出せないスポーツ選手を思い起こしてしまいました。その理由として詩情を感じさせるパートと説明的なパートが分離しているせいではないかと感じました。特に二段目。ここで僕はつまづいてしまいました。ここが詩文として全体に組み込まれていない。詩情とか意味合いを含ませながら詩の背景を描くことに成功していないのではないかと。だがしかし「彼は今日も息をして」から最終連「プランターに水を まくのは もうやめた」への流れは非常に美しかったと思います。
0なるほど。 詩文として全体に組み込まれていない、というご意見、参考になります。 お読みいただきましたてありがとうございました。
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