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切り取られた部分的数式および完成形の解釈について
はじめに。 これはあくまでも私の解釈なので筆者の意図とは恐らく違う何かを掴み取ったと思われるため、一つの解釈として読み取って頂きたい。また、今回は数式など使われるため、私の文体も理系のレポート調になってしまっているのを予めご了承願いたい。また数学記号を当たり前のように使用していこうと考えており、可能な限り読みやすくすべきだと思ってはいるものの数学記号アレルギーの人は読むのを諦めた方が良いのかもしれない。 まずタイトルのintergrateは積分を表していると思われる。積分はいわゆる∮(インテグラル)を使うあれのことである。高校時代にインテグラルを使うものの積分とは簡単に言えば、ただひたすら淡々と積み重ねるように足していくだけなのである。だから積分と呼ばれる。 Σも積分とほぼ同じだと言われている。Σの小文字がσであることは後の解釈に使用する。 これは1人の男が恋をした記憶、夏の儚さを記述していく仕組みになっている。 初めのt(1)はtそのものが関数となっている。tはtotal(合計)だろうか。1人でいることの主張かもしれない。 そのあとδで様々なことが記述されていく。 δは逆に差分、変化量を表す。私の中では微細な変化を思わせる記号である。 δC,δV,δP,δT これを全て用いる数式で私が思いつくものは以下のものである。 P V=nR T P V=C T P:気圧、 V:体積、 nR=C:定数(nはアボガドロ数、Rは気体定数と予め決まった値であるためCという定数で置き換え可能) T:温度 いわゆるボイルシャルルの法則である。実際はアボガドロの法則をボイルシャルルの法則に適用したと言えるのだがこれは物理書ではないのでその辺は省略する。 意味としては 「気体の圧力P は体積V に反比例し絶対温度T に比例する」 ※Wikipediaから引用 ということである。とはいえ、今回はこのボイルシャルルの法則の意味が分からなくてもそこまで問題はないので説明はここまで。 むしろ、理解しておくべきなのはこの変数および定数の意味である。それを考えながら解釈していこうと思う。 δC 定数のδ、この時点でなんだか矛盾している気がするのは恐らく私がきちんと数学的な理解をしていないからだと思われる。 ここでは炭酸、酸素、むきぶつ など物質の単語が多く使われており、人が出てくるというよりはモノ、現象が多く現れているように思えた。肩と肩を女と合わせる。なんと無機質な表現だろうか。 δV 変数の体積、私はここでは空間的な広さと解釈した。空気の入ったゴムで出来た箱のようなものである。 遠回りは無限遠と無意味の重なりから生じた。 無限遠は真円のような透明さだから、 遠回りはいつだって手に入らない。 無限遠という永遠に遠い点。それを円のような空間として表現し透明で掴めないように見える。 熱風にからまるローズコロンのにおいが、 ふやけた脳幹からはなれていく。 白線にためらって、越えて、 陰にとけゆく髪を追う。 再び広がりはじめた、街。 空間にはコロンの匂い。 そして広がっていく街。 ゴムで出来た箱は無限遠まで広がったり、中の空気に匂いがついたり、筆者によって自由自在に操られている。 δP Pとは圧力のことである。 いわゆるVの体積とは真逆だと思ってくれれば良い。実際ここでの筆者の文章は ただしい街灯は、 夜と道、僕と彼女の混和を許さない。 羽虫を遠ざけて点滅する街灯の裏拍、 ぶつかった小指と甲。 とだけになっている。 僕と彼女は混ざり合いたいのに赦されない、小指と甲がぶつかる痛み。ここで自由自在に操っていた箱が痛みという圧力でつぶられるのである。または操れなかった時期もあったということなのだろうか?それはわからない。 δT Tとは温度である。 ここではまさに男と女が花火をしており、最初に男は なんか風流なことしたい、 と呟いているのである。はじめのδCに比べると感情が入っている。その後、男と女は線香花火を買い、火花を見つめているのである。2人で笑いながら。この幸せはいつまで続くのか、そんなことを気づかないふりをしながら。 そしてt(2) 最初のt(1)と異なり、2人の思い出になっていくのである。 ΔS インテグラルがなぜ∮と書くかというと元々はSの記号から出来たものであるからだ。 ここで今までのδCからδTまでを積分している。つまり、 ΔS=δC+δV+δP+ΔT (本当は非常に違う表現だし数学者にこれを見せたら恐らく私は殺されるだろう。) 例えるなら映画のフィルムのようなモノだろうか。某映画作品はフィルムにそれぞれ、背景、建物、物質、登場人物をそれぞれ別のフィルムに描き、それを上から重ねることで表現している。なので、一枚の絵からはその一つの情景しか読み取れないが本来は背景や建物は別に表現されているのである。しかし、それに気づくのは作った本人、ここでは男しかいないのだ。 全てが夏の思い出であり、女はあの人という変化を遂げる。男はそれでも1人で歩いていく。 重ねた変数と定数を添えて。 ※追記 ここは私が思いついた解釈かつさらに難解な可能性があるので読みたい人だけ読んでほしい ΔSとは熱力学でエントロピーを表す。 エントロピーとは混沌である。 例えばミルクにコーヒーを入れてみよう。 そして、それを混ぜてみる。さて、ここでミルクとコーヒーが混ざる前の状態に戻すことは出来るだろうか?私は人間なので不可能だ。 このようにエントロピーは混沌、カオスを表すものである(非常に簡易的な表現) ここでΔSと書かれているのはもしかすると男の心がかき乱されて、女の思い出と混ざって、もう戻れないということを暗示している可能性がある。 以上、これが私のこの詩の解釈である。 非常に解釈が面白い詩であった。 人によってこの詩を読んで浮かべるフィルムは違うだろう。そのフィルムを重ねて人の心に一つの情景が浮かんでいく。 なんと人の心は面白くて、儚くて、愉快なのだろうか。
切り取られた部分的数式および完成形の解釈について ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1364.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
作成日時 2020-09-04
コメント日時 2020-09-04