別枠表示
ジュブナイル
春が来て、僕は新しい世界に飛び込んだ 学ぶことが楽しくて、懸命にノートを書いていた 友達と話すのが楽しいから、笑いながら家に帰った お母さんもお父さんも好きだったから、お風呂があったかくて、ごはんがおいしかった 明日が楽しみだったから、ぐっすり眠れた また春が来て、父親が居なくなった 未来のことを考えなくてはいけなくなった 勉強しなければいけないから、必死にノートを書いた 友達との話し方がわからなくなって、一人で家に帰った 母親は仕事だから、一人で冷たいごはんを食べた 辛いことが多すぎたから、泣くことは無駄だと知った なのに何故か眠ることが怖くなって、色んなことを考えた 失ったものはもうここにはないはずなのに、僕にまだ重くのしかかっている 蜘蛛の巣に絡めとられた羽虫のように、身動きが取れずにいる そのうちもがくことも嫌になって、ただ腐っている そんなどうしようもない僕です。 そこから冬になって、冬眠してしまいたいような日。花も枯れてしまっている日。太陽も沈んでしまい、僕はただ闇に消えてしまいそうでした。 その時一転、何かが僕を強く照らしました。 冬の花火。 ただ一瞬、強く強く光る花火。気付けのようにドォォォン… ドォォォォン… 僕の体をぶっ叩いた! そしたら僕にのしかかっていたものが全部ぶっ壊れて音を立てて地面に落ちていった! 一瞬で消えた花火は、僕に消えることのないエネルギーをくれた! そこからはもう、今まで押さえつけていた何かが押し出されてきて、たまらなくなって、とにかく走りだした 息が苦しくなっても、心が苦しくないから、どこまでも走った そのうち僕はもはや、空を飛んだ。海を泳いだ。世界に叫んだ、宇宙に叫んだ。星の輝きに気づいた 僕はおもいっきり泣きながら笑った あっという間に太陽が帰ってきて、バカヤローって、文句を言った。それが反響して返ってきたから、笑い飛ばしてやった あっという間に終わった幻の一夜。ずっと胸に残っている実在した幻 あと少しで春が来るから、僕はそれに出会いを期待した
ジュブナイル ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 793.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2020-08-30
コメント日時 2020-08-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
父君は出稼ぎ労働者、季節労働者かもしれないと思いました。冬の花火は歌人中城ふみ子を想起させ(彼女を主題にした小説のタイトル)詩想に影響を与えているのかもしれないと思いました。
0