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ダクトテープでふさげないものを愛して。
鱗粉は薫る。 かつて管を通った神経のみで生きてみせた蝶のように 私たち、意外と生きているね。 「ダクトテープでふさげないものを愛して」 コンクリートの隙間を縫って生きてきました。 手を伸ばして体を捻じ曲げて這ってきました。 私の名前は__と言います。 御社の企業理念に惹かれました。 入社した暁には、全てをささげて御社のために尽くしたいと思っています。 (この度は弊社__の__誠にありがとうございました___大変遺憾ではありますが__) 夏になるとフローリングの隙間を蟻が這ってゴミ箱まで列を作る。 半径15センチほどの円柱の中に全てがつまっているのだとアリたちは知っている。 「ダクトテープでふさげないものを愛して」 生まれたときからずっと生きてきました。 呼吸をするのも辛い夜も、なんとか息を吐いて、吸って、吐いて、きました。 私の名前は__と言います。 あなたの優しさと笑顔に惹かれました。 もし付き合うことができたなら、あなたを守って、幸せにすると誓います。 (とても良い人だったよ__うん__良い人なんだけど__なんだか__少しだけ__) 一番愛していたものに選ばれることがなくても 諦めることさえできれば、人生は進む。 「ダクトテープでふさげないものを愛して」 ずっと昔、母は笑った。 貴方はとても頑固で、几帳面で、厳しすぎて、色んなものを、正しく使おうとしすぎるから。 あちこちから欠点が噴き出すものを恐れないで。 ダクトテープでふさげないものを愛して。
ダクトテープでふさげないものを愛して。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1475.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2020-08-29
コメント日時 2020-09-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「『ダクトテープでふさげないものを愛して』」の詩句で、異なる断片を見せる。また、蝶やアリのモチーフと現実世界のドライな様子とが綯い交ぜになっている。コラージュ的な構成で面白いと思いました。 肝は、最後、「ダクトテープをふさげないものを愛して」と括弧が外れるところにあるのだろうなと感じた。地の文的になることにより、詩を「うたう」者自身の、リアルな声になる。 ただし、これは私の見方が単純であるせいかもしれませんが、後の吐露と比べると、第1連だけ浮いて感じられる気もしました。
1なんでダッシュや罫線じゃなくてアンダーバーなんですか? みたいな質問をしたいと思ったのですが、ダクトテープの表現なんでしょうか。違ったら申し訳ないですね。 結局「ダクトテープでふざけないものを愛して」そのものの意味は、私では読み取れなかったのですが この作品を通して表したかったであろうメッセージが、この一文から想起できるようになったので、面白かったです。
1何かを願っているのかなという風に最初、思いました。 蝶(あるいはその幼虫)と蟻の描写からは生きる為に這いつくばっている過程のようなものを感じました。 最後に、母に対する記述がありますが、 それはもしかしたら厳しすぎた母に対する思いなのかもしれないと、一瞬。 けれども、途中の文章を読むと、愛や、結婚に対するイメージを感じ取る事ができます。 「ダクトテープでふさげないものを愛して」 というフレーズからは人の好ましく要素、蝶の(幼虫でしょうか?)や蟻などの描写からは感じるのですが、 作中の()に囲まれた部分を読むと、もしかしたら、それがダクトテープでふさげないものや要素なのか、あるいは作中の主体が入れ替わっているのかとも思いました。 入れ替わっているのは、作中の主体ではなく、同じ人物の別の要素なのかもしれません。 鱗粉を散らしながら飛ぶ蝶は、既に幼虫を抜け出して成虫になった生き物です。 複数の要素が、層を重ねるのように、入り混じっているように感じました。
1いま気づきましたが、ふざけない→ふさげない ですね。入力間違いをしました。失礼しました。
1コサージュという表現は素敵ですね。 この詩を書いたとき、少しだけ表現をズラしたんですよ。蟻は社会的なものを表現するのによく使われるモチーフで、蟻の描写は会社の描写につなげた方が整う。そう判断しながらも愛に繋げたり。 まっすぐにリフレインするのは理屈っぽくなってあまり好みではないんです。 第一連はそういう意味で、意図的に少しズラしてはいます。 ただしそれが読む側の引っかかりになってしまったのは私の中での反省ポイントですね。
0—はダクトテープの表現であるのはそうなんですが、ダッシュじゃないのは単純に表記ミスですね…。 投稿時に気づいたんですが、なんとなくこのままもいいかな?と思ってそのままにしました。言われてみるとダッシュじゃない方がダクトテープ感は出ているので結果的には良かったかな?と思ってたり…。 ペタペタと表現を張り付けて伏せたテーマがなんとなく伝わると良いなあと思いながら書いたので、 少しでもその片鱗を感じてくれたなら嬉しいです。
0一応この詩は、明確にテーマを決めてはいるんですけど、 「ある一定の感情さえ呼び起こすことができれば、受け取るものはそれぞれでいい」と思っています。 私の稚拙さが演出しきれていない部分もあるとは思うんですが、 ryinxさまはじめ思ったよりもちゃんと読んでもらっており有難い限りでございます。
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