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蝉はもうじき全部死んでしまうだろう
空腹に黴生えて 財布に金はなし 寂寥に心は泣きぬれて 身体はどこまでも渇している 本を開けば目は文字の上を滑り 夜の静けさを感じれば夏 星は昨日と同じように美しく 明日も変わらず美しいことを予感させる 蝉はもうじき全部死んでしまうだろう 蝉はもうじき全部死んでしまうだろう 蝉はもうじき全部死んでしまうだろう 蝉はもうじき 血だけが沸くのだが 喧嘩をする相手もない 慰めもなく 星は今日もきらきらと もうすぐ秋になるのか もうすぐ秋になる もうすぐ秋に 蝉はもうじき全部死んでしまうだろう 星は昨日と同じように美しく もうすぐ秋になる
蝉はもうじき全部死んでしまうだろう ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1785.2
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2020-08-27
コメント日時 2020-09-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
&さんの作品で、リフレインを使っている部分はあまり見ない気がしており、珍しい事をされているな、と思ったりしました。 &さんらしく、時間の流れが非常に緩やかであり、静寂の中で静寂を想うような、空気を感じるような作風はやはり面白く思います。 リフレインの部分ですが、そこの箇所だけかなり浮いているような感じがしていまして、3回繰り返した意味合いを強度を持って伝えきれていないように思います。と言いつつも、私自身リフレインは難しすぎて殆ど使わないですので、じゃあどうすればええねんと突っ込まれると何も言えないのではありますが、「蝉はもうじき〜」をリフではなく、詩句の至る所に配置する方が、短時間で蝉が死んでしまう様をより伝えられる気がしますし、より伝えられる方法が、本作にはまだまだ眠っているような気もしました。
1今日は。もうじき終わってしまうと言うのはなんとなく悲しい部分があると感じさせる作品ですね。楽しいことでも、面白いことでも余韻のように悲しいことがついて回ります。何となく作者の言いたいことを感じさせる作品ですね。
1この詩いいですよね。蝉というワードが悲観的に、ある種の絶望を伴って使われている。蝉って盲目の人にも夏の終わりを知らせてくれるじゃないですか。だから本来希望とか光を持つものだと個人的には思っているんですよ。それなのに、いやだからこそかこの詩では念仏のように「蝉はもうじき全部死んでしまうだろう」と繰り返される。そこにあるのはとても主観的で人間的なエゴに近い希望の切り離し、に僕には思えるんです。モーリーというソロシンガーがソロワークスの初期に「絶望から始める それ以外に価値はない」と歌っているんですけどそれに近いものを感じました。でも日本は四季の移り変わりの美しい国。秋にも密やかに希望めいたものを感じさせることでこの詩は秀作になっていると思います。 ちなみに今日投稿する「予定」の自作にも蝉が出てきます。僕の蝉へのイメージが著しく投影されていると思います。それでは。
2即興で返詩を俳句で。 もう秋に 蝉が眠りて 猫が食ふ 金もなく 空の財布に 蝉が落ち 蝉が死ぬ 秋の風吹く 日が暮れる 蝉が死ぬ 空見上げれば 秋の星
1コメントありがとうございます。リフレインの意図についてですが、この詩は繰り返される部分には変化をつけ、変化のある部分は繰り返すというあべこべな構造を狙って作った形式的な詩のつもりでした。変わらない日々の中で蝉の死と季節の変化だけが変化していく、その変化の部分をリフレインで表現したつもりです。最後の部分はそれまでの言葉のコラージュで、変わっていくものもより広い視野でみれば循環しているのかもしれない、ということを暗示しました。
0ありがとうございます。もうすっかり季節も変わってしまいましたが、書いたころは丁度蝉のよく鳴いていたときでした。
0ありがとうございます。自身の死の暗示も読める詩かもしれませんね。死をob-ject(前に―投げる)化することによって主体から目をそらすことは死を前にしたときに往々にしてあることなのかもしれません。もちろん、死以外でも
0ありがとうございます。蝉を希望の光とされるのは興味深い解釈で、対して僕の詩の中で蝉はやや悲観的な響きをもって描かれているかもしれません。ただ、僕はこの繰り返しのなかにひとつの希望を込めたつもりでもありました。
0死ぬ蝉のこころ 抜け殻はうつろ
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