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花火は遠くに
夏をはらんだ夜風が、うねり伝って頬をねぶる。 昼を忘れた人のざわめき、静かにしっとり夜が染み込む。 回る回る風車が回る、 湿った匂いをかき混ぜて。 今宵ハレの日、うつつはゆめに。 泡沫に霞む、りんごを手に取り、 酔いの宵風、破って駆けだす。 滴るソーダの香水が、淡く色づく首筋濡らす。 不意をつかれた水たまり、裾に浴びても気にせず笑う 髪を結ったあの子が跳ねる、 一つのカバンにすべてを詰めて。 今宵ハレの日、ゆめをうつつに。 にわかに咲いた、花火を背後に、 どうにもできない、「今」を抜け出す。
花火は遠くに ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1390.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 5
作成日時 2020-08-19
コメント日時 2020-09-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.7 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
情景は眼前に思い浮かぶよう。 しかしそれだけに留まっていると感じました。
0五木 國重様 コメントしていただき嬉しいです。 この作品は、イメージの綺麗さに力を入れて作ってみました。 それだけ、といわれれば確かにその通りだと思います。ただ、個人的には、スナック菓子をつまむように、通勤電車で音楽を聴くように、軽い気持ちで読むのであれば、ちょうど良い軽さなのではと思っております。今回は、そんな軽さを目指して作成してみました。
0ソーダの香水とは、とても爽やかで印象的です。 抜け出すことのできない固定された場所でのスピード感と、そこから飛び出そうとする動きがうまく対置されているように思いました。 浴衣をイメージさせる言葉と、制服をイメージさせる言葉の並びもその対置を支え、葛藤がうまく描かれていると感じました。
0淡い可愛さのあるセーラー服少女を思い返せるようなとても嬉しくなれる。とてもいい作品ですね
0沙一 様 コメントしていただき嬉しいです。 沙一様の作品を楽しく拝見させていただいております。 ご指摘の通り、歌詞のように書いております。 また、タイトルの意味に気づいていただけて嬉しいです。 作品のメインテーマは小さな逃避行、または駆け落ちです。花火の打ち上げ場所であり、「あの子」にとって生きづらい場所である地元から、夏の夜のこの時間だけでもいいから抜け出す。そんな物語をイメージしています。
0白川 山雨人 様 コメントしていただき、ありがとうございます。 ソーダの香水はこだわった部分でしたので、評価していただけて嬉しいです。固定された場所から抜け出す部分の対置ができていたようで、良かったなと思っています。 正直に申し上げると、書いた当初は制服のイメージはありませんでした。制服と浴衣の対置は、昼と夜、束縛と自由の対置につながり、素晴らしいと思います。勉強になりました。
0外町 利典 様 楽しんでいただけて嬉しいです。 彼女の雰囲気が少しでも伝わっていたらいいなと思います。
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