拝啓、イタズラ好きの君へ - B-REVIEW
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拝啓、イタズラ好きの君へ    

最後一個の サクマ式ドロップスのように愛おしい君に、 まるでヴェルタースオリジナルのコマーシャルのような 郷愁のつまった恋文を書いているのです。 今は夕ですから外は橙色です。 君の存在に気づいたのも夕でしたね。 ですから、 私にとって朝に会おうと昼に会おうと君は夕焼けです。 『あなたがしゅろうの鐘であるなら わたくしはそのひびきでありたい』と 詠んだのは新川和江さんだったでしょうか。 私にとって君への気持ちをよんだ一節なのです。 今朝は早起きが出来たので のんびりベランダで煙草を吸いました。 朝焼けが植木を照らし、 遠くを見ると、 山が影り光を際立たせ それは綺麗に見えました。 私はこの手紙を、 今朝の朝焼けの美しさを宿した、 夕焼けが登るころに投函するつもりです。 (きっと朝とは反対側に聳える遠くの山を、影が塗りつぶし、それは美しいことでしょう) 時として君は、 私のことをあざむいて、 イタズラっぽく笑ってみせますね。 私はそんな君に素直に騙されて一喜一憂しているのですよ。 だけれど、 青空を見ると、 君がいるんじゃないかと、 ベランダに出て、 両手を突き上げ伸びをします。 澄み渡る青を眺めていると、 青のずっとずっとずっと先に、 行けると思うからです。 青の先にはきっと君がいて人懐っこく笑うのです。 そして、君は尋ねます 「ねえ、雲に乗れたらどこへ行く?」 私は待ってましたとばかりにこたえます。「雲は遠くから見るもんさ」 君はどこにでも現れるし、 どこにでも行ってしまいます。 それは裏を返せば君はいつも(ここに)いるのだという証拠です。 そんな君を愛おしく思っています。 もうじき、 日が沈み始めますから、 そろそろ、話をまとめないといけませんね。 写真を一葉そえていますよ。 君の存在に私が気づいた時の、 夕焼けの写真です。 遠くの山を影で塗り、 青空に橙を染みこませているのがわかりますか? 追伸 一人ベランダで植木に水をやり、 煙草を吸いながら、 遠くに見える山と、 山よりも高くて伸びる入道雲に、 君の気配を感じることがあります。 私の心は、 最後一個だけになった サクマ式ドロップスの缶のように カランと楽しげになるのです。



拝啓、イタズラ好きの君へ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 9
P V 数 : 1997.5
お気に入り数: 2
投票数   : 0
ポイント数 : 4

作成日時 2020-07-01
コメント日時 2020-07-26
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/04現在)投稿後10日間
叙情性21
前衛性00
可読性11
エンタメ00
技巧11
音韻00
構成00
総合ポイント43
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性00
可読性0.50.5
 エンタメ00
技巧0.50.5
音韻00
構成00
総合22
閲覧指数:1997.5
2025/04/04 15時19分31秒現在
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    作品に書かれた推薦文

拝啓、イタズラ好きの君へ コメントセクション

コメント数(9)
かずや
かずや
作品へ
(2020-07-01)

非常にいいなと思い読ませていただきました。 「君」というのはだれか固有の君なのか、はたまた月なのかひょっとして書いている途中でやんわりと空が夕暮れに変わるように変わっていったのか。 恋をする身として身につまされてほのぼの読ませていただきました。

1
入間ちかa.k.a.なぞみん
かずやさんへ
(2020-07-05)

読んでいただきありがとうございます! 『君』をどう捉えるかで読み味が変わればとは思いながらつくりました!

1
花澤悠
花澤悠
作品へ
(2020-07-07)

それが、可愛らしい女の子でも良いのですね。 わたしもなにの比喩なのかと考えて何度も何度も読み返してみて、やっぱり『月』なのかなぁ、と思って、だからアイラブユーなのですね、ってコメントしようとしたら、前出で、どう受け取ってもらってもかまわないのですとの暖かいお言葉。 ならわたしは可愛らしい女の子だと思って読もうと思います。 とても美しく、懐かしい音が、たしかに聴こえました。 素晴らしい読後感を、有難うございます。

1
入間ちかa.k.a.なぞみん
さんへ
(2020-07-07)

読んでいただきありがとうございます! 雲についてふれていただけて嬉しいです! すんなりと心に入る作品ではないかもしれませんが、深く読み込んで詩を感じてもらえて嬉しいです! ありがとうございました!

0
入間ちかa.k.a.なぞみん
花澤悠さんへ
(2020-07-07)

読んでいただきありがとうございます! 作者なりの『君』がありますが、それ置いておいて、読み手に『君』をいろいろ想像してもらえたらなと思いつくっていたので、嬉しいです! ありがとうございました

0
ほば
作品へ
(2020-07-20)

サクマ式ドロップの缶の鳴る音や雲についての会話といい童心をくすぐるような穏やかな心地よさを感じます。「君」が月なのだろうと皆さんと同じように読みながらそれでいて、きっと主体の記憶のなかにある誰かへの気持ちを重ねているんだろうとも思いました。新川さんの詩を引用が良かったです。他者や外の物があって自分はそれに(これは相手もだと思うが)活かされている。

1
入間ちかa.k.a.なぞみん
ほばさんへ
(2020-07-22)

読んで頂きありがとうございます!心地良さを感じてもらえたのはとても嬉しいです"(ノ*>∀<)ノ 新川和江さんの詩の引用はこだわった部分だったので活かせていたようで嬉しいです!!

0
戸ヶ崎朝子
戸ヶ崎朝子
作品へ
(2020-07-25)

貴方にとっての君は素敵ですね。「雲に乗れたらー」、「雲は遠くから見るもんさ」。作者の本音が垣間見れたようで面白かったです。ユニークな表現ですね。 それに、とってもきれいだった。

1
入間ちかa.k.a.なぞみん
戸ヶ崎朝子さんへ
(2020-07-26)

読んでいただきありがとうございます! ユニークと言って貰えると嬉しいです。 ありがとうございました!

0

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投稿作品数: 2