時は喘鳴、めいめい打ち上がる雪
あすは渡る、揺れる橋てにをは、かけてかけがえのない、かけをば
いってんの曇りなきめに針さしだし、
にぎらせた石ころげ、帰るとも知らでないて追わす
垂る水は毒にてやむなし、手ひいておもう
ひとみせずないゆき。
ひえて、ひえくうきみ、茶碗一杯のたくましき
くちあけて、屋根みてああというくち
取りおとしはねるひえ、ないてふさぐ手のやわらかきこと
あすは渡る、揺れる橋てにをは、かけてかけがえのない、かけをば
◇
しんしんつもるゆき、二度しらむ夜、わすらねや
しいてもの、しいてや、つまらぬしきかけてなぜる
箱につめてにをは、くいてもしなん
ごうごうたち曇るあさ、鳥わたりてようでもきい
かんかんと打ちころげるおと、さんさんとなるまで見ん
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 1768.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 20
作成日時 2020-06-26
コメント日時 2020-07-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 10 | 10 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 20 | 20 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 10 | 10 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 20 | 20 |
閲覧指数:1768.9
2024/11/21 23時12分13秒現在
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「てにおは」この部分が何度か繰り返され日本語の基本から、基本にこそ詩の秘密が有るような、そんなことが感じさせられる詩でした。五連目に「箱」が出て来ますが、匣と最初の返還で出て来ました。文脈から雪を箱に詰めたのだろうかと推測しました。
0みつきさん、こんにちは。 とても素敵な作品だなと思いました。 なんだか民謡を聴いているようでした。 過去作もいくつか読ませていただいたのですが、 みつきさんの文章はとてもリズム感がありますね。 メロディーが上から降ってきそうです。 >あすは渡る、揺れる橋てにをは、かけてかけがえのない、かけをば ここの一文がとても好きでした。 特に、「てにをは」という、一見すると意味のわからない助詞の連なりが この作品全体のリズムを担っているように思います。 また、読み手にこの「てにをは」とは何なのか?と考えさせることで 作品全体に不思議な雰囲気が漂い、それが心地良いなと思いました。 この木箱には、みつきさんの思う「てにをは」が入っているのでしょうか。 そんなことまで想像してしまいます。
0みつきさんへ かなり好きです。全部は意味を拾いきれないけれども。 > あすは渡る、揺れる橋てにをは、かけてかけがえのない、かけをば この「かけをば」がキーなんじゃないかなと思っています。一行目の喘鳴の“鳴”の音にめいめい(銘銘)が呼び起こされるところから始まって、橋を掛けて掛け替えの無い“てにをは”にかけた掛け言葉。 「にぎらせた石ころげ」は「握らせた石ころ転げ」だろうし、「垂る水は毒にてやむなし、」は「垂る水は毒にてや虚し、」と「垂る水は毒にて止む無し、」かもしれない。「手ひいておもう」は誰かの手を引くのか、何かから手を引くのか。 とこんなふうに、かけてあるかもしれない言葉を探すのがたのしいかったです。 ただ残念なことに、私に古語の知識がないばっかりに、全体の意味をとらえることができませんでした。そこまで読めるともっとおもしろいのだろうけれど。 そして、これは書いているご本人が一番たのしんでいるんじゃないかなと感じました。とてもよいと思います。
0コメントありがとうございます。 日本語についてぼんやり考えながら書きました。てにをは に、辻褄とか くずしてはならない作法 みたいな意味合いがあると知って、いいなあと思って導入しました。 匣って漢字初めて見ました。かっこいい。漢字も色々と選択肢があって面白いですね。
0こんにちは。コメントありがとうございます。 民謡らしさありますか。リズムを気にして書くことが多いので、そう言っていただけると嬉しいです。 昔ばなしのような、実在するかどうか分からない世界の距離感を目指しました。不思議な雰囲気を感じてもらえて良かったです。
0コメントありがとうございます。 これを書くとき、一行目を最後まで悩みました。触れていただけて少し救われた気持ちです。 そして、私も古語が分かりません。本当にすみません。古語が読める方に怒られるだろうなと思いつつ作りました。 人との交流が少ない日本語話者は、独自の言い回しをすると想定して、造語を混ぜたりしています。 >そして、これは書いているご本人が一番たのしんでいるんじゃないかなと感じました。とてもよいと思います。 はい、ここ最近でいちばん楽しかったです。ことば遊びを思う存分できて本当に、楽しかったです。 (補足) この詩のストーリー自体は暗めです。 でもストーリーはおまけみたいなもんで、別の解釈でいいし、他の要素を面白がってもらえるだけでも有難いと思っています。 以下あらすじです。 ーーー 不安定な橋を渡らないと辿りつけない危険な場所に、1人だけ人が住んでいる。 ある日そこに子どもが迷い込んできた。子どもを保護した住人は「明日向こう岸に帰さねば」と思いながらも寂しかったので、毎日世話をする。 そうしているうちの夜、子どもが死んでしまった。住人は子どもの体に布をかけ、木箱に入れて後悔する。 翌朝、橋のところに行くと、子どもは鳥になって渡っていき、呼んでも来なかった。空になった木箱を谷底に落とし、音が聞こえなくなるまで見つめた。
0みつきさんへ やっぱり言葉遊びでしたか! 私は言葉遊びばかりしている人間なのですが、言葉“で”あそぶのではなくて言葉“と”あそぶことを目指しています。 「木箱」を読んでいて、みつきさんも言葉“と”あそんでいるように見えたのでうれしくなってしまって。 それから、私は文章を読むのが苦手なので黙読より音読を好みます。もちろん「木箱」も音読をしたのですが、音がきれいでとても好もしいと感じました。 ところで、私は音読をすると作者がどんなふうに言葉を選んでいるかがなんとなくわかるような気がしています。「木箱」からは、とても丁寧に言葉を選ぶ作者の姿が見えました。もし、この詩の古語から「なんだかよく調べもせずかっこいいからとかその程度の理由で使っているのかなー」と感じてしまっていたら、私はこちらにコメントを書かなかったと思います。 > 人との交流が少ない日本語話者は、独自の言い回しをすると想定して、造語を混ぜたりしています。 語り手である人物が日常的に話す言葉としてしっかりと考えられているのだということがわかって、ますます好もしいと思いました。
0再度のコメントありがとうございました。 なるほど勉強になります。私の場合、言葉遊びは好きですが、言葉と遊ぶ は意識したことがなかったし、音読もあまりしないほうです。 黙読と音読だと受けとる情報が違うのかなと思うと興味がわいてきました。今度やってみようと思います。
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