尿溝 - B-REVIEW
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ことば

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尿溝    

子牛が産まれていた 尿と糞の中 血と羊水と胎盤にまみれ これ以上汚くなりようがない生き物が 泥のような大便に顔を埋めて 耳を側立てていた 親牛がカルシウム不足で腹下し そんな子牛にさらに塗りたくる 地獄のような糞尿を貯める尿溝から 子牛を引き上げた 嫌がらせのように染め上がった顔は 何事もなかったかのように こっちを見ている 哺乳類は 血と羊水と胎盤に包まれ この世に排泄される 汚くならないと 生まれる事はできない 穢れないと 生きる事すらできない 子牛の汚れをぬぐう 丹念にぬぐう これ以上汚れなくていい 気が付くと その子牛はまた 尿溝に落ちていた 立とうとして転げ落ちていた 何があったのかと 不思議そうにこっちを見ながら 再び汚れていた


尿溝 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1255.2
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2020-06-04
コメント日時 2020-06-05
#現代詩
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1255.2
2025/04/13 16時02分40秒現在
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    作品に書かれた推薦文

尿溝 コメントセクション

コメント数(4)
湯煙
作品へ
(2020-06-05)

たとえばですが。糞掃衣なる世界観を思わせるようです。道元禅師の糞袋といった喩えなど。 生まれ落ちるといった感じでしょうか。まみれなければ見えないものがあるだろうと。人間の分別理性で捉えることができない世界の有り様を子牛が無言で示しているように思いますね。輝きではないかと。

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湯煙
作品へ
(2020-06-05)

作品から少し感じたことは死にゆくときにもやはり同じような状態であるのではないか。生死一如といいますか、肯定/否定という、反転を繰り返す世界という。

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羽田恭
さんへ
(2020-06-05)

「酪農は糞との戦いだ」以前勤めていた牧場の人がそう言っていました。 物凄い量を出してくる糞を避けながら作業し続ける側面があります。 でもこれ、生きているからなんですよね。なら悪い事でもないなと。 この詩の様に尿溝に落ちた子牛には毎回閉口しますが。 牧場の牛、見れるなら眺めてみてください。(牛に病気がかかる場合がなくはないので、距離を保って下さい) かわいいです。 やたらでかいですが。

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羽田恭
湯煙さんへ
(2020-06-05)

色即是空、と般若心経にありますね。 意味は簡単に言ってしまえば、「物の見方は相対的なものでしかない」だとか。 糞が汚いとは人間の言い分に過ぎないところはあります。動物はみんな糞袋ですし。 糞にまみれてしまう子牛は全力で何も考えずに子牛をやっているだけですが、結果として真理に近いかも。 死んでいく時も、尿溝に落ちた子牛と同じような事になるのはままある事かもしれませんね。 >生死一如といいますか、肯定/否定という、反転を繰り返す世界という。 なるほど、そういう視点も垣間見れるかもしれません。 しかし子牛から哲学が展開できるとは!

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投稿作品数: 1