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石の苦悩
黎い畑に 蜜蜂は液化してゆく 懸念された 伝染病は 苦役より惨禍へ 到り 天球 十二階段は幾多の墨 鉄漿色の天使より 黄昏の巨利鎌を振子へと染色し 小夜鳴の喉に井戸を 埋葬されるべきものどもを 撓めて 映像管に揺動する、骨壺より酪乳を注ぎ 暴風 放火魔を擦過して 多頭蛇髪婦三姉妹の裔 黄銅櫂船に旗幟を 逞しく鋳抜く、彼処を草戸に秘めつつも 癌巣腐蝕の人体模型 それら エタノールに没す落巣より 卵殻の胴部を吹き零れる淡やかな葡萄花を 画鋲腐りながらも構図 そは 奥処の影の騎鎗に燃えては 更紗、否 鹹き砂を鬻ぐ老嬢、迄も 風葬に跡形も遺さず 雲母を濡れては風媒花紛を 海嘯に 打ち靡かせる、人工受胎の総花総覧より | 幾多、葉蔭に 朽ちる壁より 葛籐の草花がみひらかれいている 微睡には 市門が 昼の閑散を 反芻して 揺蕩う 乾藁車に 駈られて 血の麦は 踏み躙られた一路の喉を 軛に架す 牡牛が 幼き諸々の瞳に割かれ 迷宮の出口より 呪われた起源を告げながら 彼等、影へと 紛れてゆく 分娩室は 今際に 霊安室につづく 轍の跡に 速度を逸る 人工の収容貨車に 窒息をする 矯正施設より 燃え落ちた美術史に 酷薄な額を 幾許か向けては 公衆は 物憂く 死を患う 苦悩の石を集めては 総て 花が砕け零れた 大理石に飲み込まれて その純粋を 濁流に失う 幼年期の歯は 綿につつまれ 閉め置かれている 小夜鳴鳥が 隠匿に巻かれた 死地を求めて 群れ蹲る 燐酸を 貪り呑み 覆された墓穴に 嘱望を 飢えながらも
石の苦悩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1135.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 14
作成日時 2020-04-21
コメント日時 2020-04-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 0 |
前衛性 | 6 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 2 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 14 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 6 | 6 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 14 | 14 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
現代詩の本質的な意義を忠実に辿っている詩と思います。古典の真似事を好む私には、前衛的。読後、読者に読ませている眺めさせていると言うよりも、むしろ私には口語の美術の様に錯覚させられる作品だという思いが湧きました。
0野良犬少年様へ。 私の詩は、何物をも意図をしません。 そして、疾うに滅びた物であると、自覚をしております。
0読めない漢字がいきなりでてきた もう俺もいい大人だし本読むの好きだからあんまり読めない漢字ってないんだけど 鷹枕可(ほんとは名前も読めない)さんのポエムは絶対1回はググらないと読めない漢字でてくる そういうのって個性だと思う それは良し悪しとかじゃなく そういうことってことだと思う 鳥は鳥だし猫は猫だからね
0Um Fantasma様へ。 オンライン辞書台頭以前、辞典を紐解く習慣に、独り苦役と愉悦を覚えて居りました。悪癖ですが。
0ライトレスで恐縮ですが、こんなに読めないと思った詩は初めてです。もしかすると、英語の詩よりも読めないかもしれません。わからない単語は全部検索したのですが、しょせん調べなければ読めないのであれば読めないということかもしれません。 ただ、なぜか「埋葬されるべきものどもを 撓めて」という一文がとても視覚的に豊かに感じられて、いつまでも頭の端っこに残っています。撓めるという言葉ひとつに、そこまで具体的なイメージを喚起する力があるとは、読んでみるまで思いもしませんでした。手に掛かる弾力が面白くて、いつまでも記憶に残るからかもしれません。なにかの寺山修司評で前に「『食器を沈める』にものすごいパワーを感じた(要約)」というのを読んだことがあります。好奇心いっぱいの幼少期にいろんなものを触るから、手が覚えている言葉には、他より強い力が込められているのかもしれない。作品に対するコメントとして少し逸脱があるかもしれませんが、そんなことを身をもって体感する詩でした。
0いすき様へ。 事物は略、五感で構成されております。 撓む、と謂えば 青年の群に少女らまじりゆき烈風のなかの撓める硝子 塚本邦雄 等々。
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