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六月
部屋の隅に置いていた水槽に 首だけのアンドロギュノスがあった 量子力学のせいかもしれない 元素を吐いて、水槽を満たした 十六歳の僕に似ているように見えた でも、もっと普遍的な気もした それはたびたび雨の日のバス停の話をして、僕を苦しめた 僕はそれの小臼歯を、ペンチで抜いてやりたくなった アリストテレスについて語り合った時は 二人の会話はいちばん抽象的で、要領を得なかった アンドロギュノスの首なんかでなく ゆらゆらと泳ぐ熱帯魚だったらどれだけよかっただろう 事実そうすべきだと思いながら 水槽についた汚れを拭き取っていると、六月がそろそろ終わりそうになっていた 窓の外を見ているから 外に出たいのかと聞いたら、「そんなこともない」と答えた 僕は今すぐそれを抱えて、走りだしたいと思った
六月 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1620.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 12
作成日時 2020-03-24
コメント日時 2020-04-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 3 | 3 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 12 | 12 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.3 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.7 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
沙一さん いつも深く読み解いたコメントをありがとうございます。 僕はあらゆる不安の根底には自己存在の影があると思います。 それは、こう、なんとかしたいと思っています。ウイルスは予防と対策しかできませんが。 なんだか僕は暗いことしか言えなくて、良くないなぁと思います。
0すいません。もし、もし万が一に、ここを見た人との間に、誤解を生みたくないと思って補足します。 ウイルスは予防と対策しかできないけど、不安は言葉の力で解消できる とかそういう意味ではないです。 ウイルスは現実としてあまりにも大きな問題だと思っています。
0私には深い解釈はできないのですが、拝見して目が冴えたのは確かなことです。想像を膨らませて、色々と考えたくなる作品でした。水のイメージ、ブルーの雰囲気が流れている、この感じが好きです。美しい孤影の姿が浮かびました。
0主に2行づつ間を開けて書かれてますが、それぞれ単独で?見てもいいですねぇ・・・ とくに十六歳~のくだりなんかすごく好きですし、いろいろ示唆されているように感じます。
0白川さん ありがとうございます。もし色々考えて頂けたならとても嬉しいです。 そのために詩を書こうと思い始めたので幸せです。
0tOiLeTさん 十六歳〜の部分は悩んだのですが、入れてよかったです。 嬉しいです。ありがとうございます。
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