卒塔婆を背負いて山をゆく - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

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それはあなたの現実かもしれない。

大概のことは呆気なくドラマティックではない。そうした現実の丁寧な模写が作品に厚みを増している。

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鐘は明くる日に鳴る! いつでもそうだ!

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こっちにおいで

たれかある

たそがれに たれかある さくらのかおりがする

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あなたへ

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アオゾラの約束

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きょこち(久遠恭子)

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居場所をありがとう。

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きょこち(久遠恭子)

カッパは黄色いのだから

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きょこち(久遠恭子)

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あなたには「十月」が足りていますか?

もし、あなたが「今年は、十月が足りてない」と お感じでしたら、それは『十月の質』が原因です。 詩の中に身を置くことで『短時間で十分な十月』を得ることができます。この十月の主成分は、百パーセント自然由

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sorano

衝撃を受けました

ベテルギウス。まずそれに注目する感性もですが、詩の内容が衝撃。 猫。木。家族。犬(のようなもの)。女の子……。など、身近にあふれている極めて馴染み深いものベテルギウスというスケールの大きいものと対比されているように感じられました。

二酸化窒素

ずっと待っていた

渇いた心を満たす雨に満たされていく

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卒塔婆を背負いて山をゆく    

県道沿いの山は粘土質だ。 いつも湿っていて、 一歩ごとに靴底へべったりと張り付く。 私は墨染みた卒塔婆を背負っては、 暗き夜に忍び歩く。 夜露は私の身体をぬらす。 ぬれながら、泥で汚れながら、なおも忍び歩く。 木の葉の隙間をかいくぐって、 向こうの街から熱電球の明りが刺してくる。 トラックが轟音をうならせて県道を通過する。 鉄塊のようなその音がアスファルトに反響している。 卒塔婆は盗んできたものだ。 あまりにも古くて、朽ちつつある。 私に書かれている文字は読めなく、 まるで卒塔婆を這う無数の小さな蛇にしか見えない。 その卒塔婆を背負って私は山をゆく。 半分腐った草の感触が足を侵す。 湿った卒塔婆は私の背に吸いつく。 墨染の蛇たちは私を冷たく見下ろす。 街からの鮮やかな喧噪は葉で遮られている。 ねっとりとじめじめした山肌を踏みしめ、 闇に溶け込むが如く忍び歩く。 そして誰も見ない山奥に着いたら、 私はそこに深々と腰を下ろす。 草葉からの湿気でひどく息苦しい。 背中の卒塔婆を両手でがっちり掴み、 高々と上げた。 板目は月の光に鈍く答える。 私は卒塔婆を、墓に刺さっていたほうから、 文字の書かれている先のほうへと、 ゆっくり順々に舐めていく。 黒い蛇たちは私の唾液にぬれてつややく。 卒塔婆に付いた泥が口の中に入っていく。 泥は粘膜を汚していく。


卒塔婆を背負いて山をゆく ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 5
P V 数 : 958.6
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-07-21
コメント日時 2017-07-29
項目全期間(2024/11/21現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
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閲覧指数:958.6
2024/11/21 23時36分03秒現在
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    作品に書かれた推薦文

卒塔婆を背負いて山をゆく コメントセクション

コメント数(5)
まりも
(2017-07-24)

一連目の、抑えた写生的描写、映画が始まるような印象を受けました。二連目の反転で驚かされました。肌身に沁み込んでくるような、直接の血縁ではないかもしれない、でも、故郷に深く根差していたはずの人々の、その卒塔婆・・・背に貼りついてくる湿った質感。〈まるで卒塔婆を這う無数の小さな蛇にしか見えない。〉初読では、ここはずいぶん説明的な一行だと思ったのですが、後半の、文字が抜け出して〈冷たく見下ろす〉、その伏線となっていたのですね。 三連目。祖先たちの魂の化身のような、時には陰湿でさえあるような、しかし深い故郷への愛憎を内に秘めた蛇たち、その魂の群れを、自ら舐めとって体に収める、一体化していくような凄まじさ。 それは〈卒塔婆に付いた泥が口の中に入っていく。/泥は粘膜を汚していく。〉自らの内を〈汚していく〉ことであるのかもしれないけれど・・・父祖たちの想いを全部飲み込んで、その山の「もののけ」に変容していくような、そんな運び手の覚悟のようなもの、全てを身の裡に引き受けるような、そんな重厚さを感じました。 地縁血縁、因縁その他もろもろを断ち切ってしまいたい、という思い、逃れたい、という思いに裏打ちされた作品や、故郷を美化したり憧憬したりする作品には数多く出会ってきましたが、愛憎も、汚れも痛みも、そうした負の部分もすべて飲み込んでやる、というような、そんな迫力を持った作品には、なかなか出会わない。秀作だと思いました。

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渡辺八畳
(2017-07-26)

まりもさん 確かこの詩を書いたきっかけは筋肉少女帯というバンドのボーカルが卒塔婆を担ぎながら歌っているライブ映像を見て、卒塔婆っていいアイコンだなと思ったからだったと記憶しています。筋少の歌は江戸川乱歩的な猟奇耽美な世界観で、そもそも自分もそういったものが好きで、それを意識して書いたものですね。妖しさを出せるかどうかが要。制作時期は文極に過去に投稿した「解体」(http://bungoku.jp/ebbs/log.cgi?file=464;uniqid=20160317_290_8700p#20160317_290_8700p)と同じ頃です。推敲ノートでも隣り合っていますし、自分の中では二つで一組の作品だなと捉えています。その中でも「解体」は業の深いフェティッシュさを全面に出したのに対し、こちらは言及されているよう構成に力を入れていますね。 愛憎も、汚れも痛みも、そうした負の部分もすべて飲み込んでやる、というような、そんな迫力を持った作品 地縁かぁ、とコメント見ながら思いました。なにせ今まさに今後の人生と郷里との関係をどうしていくかの岐路に立っているものでして。 この詩にもトラックと県道が出てきますね。全国1万5千キロバイクで走って思ったのは、国道と県道はなんか雰囲気違うんですよね。地方道レベルの大きさしかない国道でも、やっぱ県道とは違う。ってのは一車線でも追い越し禁止だったりっていうことなのかもしれませんが、それとは別に県道は存在自体が暗いといいますか。 場所のモデルは実は文極投稿の「雪」(http://bungoku.jp/ebbs/log.cgi?file=517;uniqid=20170126_572_9417p#20170126_572_9417p)が全く同じなんですよね。忍び歩いた斜面と斎場は500mも離れていないと思います。 だから、やはりどうしても詩作するうえで郷里の影は絶対ついて回るんですよね。自分語りをすれば、私は地元の大学で方言学やってるんですよ。なんでかって、まぁ進学は都市部にしたかったのが上手くいかなくて、ならば逃れられぬ地方性を極めてやろうと。なんんだか自傷行為に近いんですよ。逃れたい逃れたい捨て去りたいと願いながらも自分は一生それが憑いてまわると自覚していて、だからこそ憑いてくるものの性質をよりいっそう身に取り入れてやろうとしている。 室生犀星の「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの/よしや/うらぶれて異土の乞食となるとても/帰るところにあるまじや」という有名な一文をここ最近よく思い浮かべます。故郷に対する彼が持つ相反する二つの感情を今はひしひしと感じてきます。 これを書いたのは2年前なので現在の私の情況等が制作時とすべて合致するということは無いのでしょうけど、しかしまりもさんのコメントを見て過去の作品にも関わらずあまりにも現在と通ずるものがあることに気づかされ作者ながら驚いております。

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るるりら
(2017-07-27)

こんにちわ。この詩から 何を受け取ったかをお知らせすることしか私にはできそうもありません。 個人的には、この詩で 私にとっての一番のツボは、一連目にある ≫私に書かれている文字は読めなく、 と、いう一行が ツボでした。 私に書かれている文字だということは、この詩の話手の視点は、人ではない可能性がある。 文字の書かれている別のモノの擬人である可能性がある。たとえば、記念碑、墓石、などです。 わたしの実家の墓も この詩にあるような墓地と似た風景の場所にあるので、この詩に絵描かれている場所に対して親近感を持ちました。わたしは私の実家の墓石に手足がある姿を想像してみました。 墓石が靴を履いて、夜な夜な山道を歩くのです・ 人のような姿に変貌している墓石が、彼の周辺にある卒塔婆を背負います。シャイな彼は、人のように腕もありますし 人の価値観では口に運ぶことは無い木製の物体を どうしても 舐めたいという衝動に駆られてしまい 人の気配のない場所に移動し、舐めたいと感じてしまった卒塔婆をを こころゆくまで、舐めるのでございます。 ≫私は卒塔婆を、墓に刺さっていたほうから、 ≫文字の書かれいる先のほうへと、 ≫ゆっくり順々に舐めていく。 ≫黒い蛇たちは私の唾液にぬれてつややく。 ≫卒塔婆に付いた泥が口の中に入っていく。 ≫泥は粘膜を汚していく 卒塔婆とは なにかを ちょっと調べてみました。私自身の家の宗派では 立てないのですが、あれは 骨を入れる五重塔の形を模したデザインだそうです。 卒塔婆のフォルムに凹凸がありますが、あれは 宇宙を形成している五大という考え方が元となっているようです。卒塔婆のフォルムは、下の部分から【地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・空(くう)】の五つの要素の意味が あるようです。 それを踏まえた上で、詩編を拝読すると、 墓に刺さっていたほうから、 文字の書かれいる先のほうへと、 ゆっくり順々に舐めるとあります。いうことは、地を味わい、そして 水を味わい、この世の火なるものを飲み込み、風を凌駕し、空に至るということとも 言えます。 このような読み方をした私にとって、 この詩は、死者の視点の詩と、私には思えました。

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渡辺八畳
(2017-07-29)

るるりらさん ぎなた読み的な箇所において非常に興味深い考察をしていただきありがとうございます。作者の予測していなかった読みが現れる可能性があることがネット詩の良さでもあるなと感じております。

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渡辺八畳
(2017-07-29)

花緒さん 卒塔婆は様々なイメージを想起させえる便利なアイテムだと感じております。 県道のイメージはカラオケボックスと共通ですね。車社会に生きておりますのでそういったものは往々に詩に頻出してきますし意識的にそれを行っている節もあります。

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