Hole - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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Hole    

穴から男が這い出してくる。 男の背中は濡れていた。 しかし、そもそもの始まりは テレビの天気予報だったかもしれない。 あるいは西部劇だったかもしれない。 (そのどちらでもあったと言えよう、あるいは。) ***** やがて男は河のようなところで からだを洗いはじめるだろう。 河の上手からなにかが 流れてこなくてはならない。 流れてくるのはもちろん黒いトランクだ。 ***** 天気予報(あるいは西部劇)の途中で テレビを消す。 部屋のとなりで女が ケストナーの小説を読んでいる。 ニンシンしているみたい、と 女は言うかもしれない。 へえそうかい、と 返事をするのだろう。 ***** トランクの中には箱が入っていた。 箱の中には箱があり その箱の中にはさらに小さな 箱が入っている。 ***** 窓を覗くと、となりの家の窓が見える。 となりの家の窓から見える男もやはり こちらの窓を伺っている。 二人は同時にカーテンをしめる。 ***** 八番目の箱に水晶玉は入っていた。 光にかざすと底が白く濁って見える。 濁りは二つに分かれ、睦みあっているのか 争いあっているのか容易にはわからない。 窓の男は誰だったのだろう? たちまち部屋の電気が消えた。 真っ暗な天井に穴が空いている。 ***** 男の掌から水晶玉はころがりだした。 河底ではなく、穴の中にすいこまれてゆく。 男は決して追いつけない。 ***** 天井の穴から 口の中になにかが落ちてきた。 水晶玉が溶けると目が覚めている。 男はきっとあの部屋にいるだろう。 河岸から這い上がり 思い出したように穴の中へ降りてゆく。 ***** しばらくして土がすべてを埋める。



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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1148.9
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 3

作成日時 2020-03-22
コメント日時 2020-03-22
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/14現在)投稿後10日間
叙情性11
前衛性00
可読性11
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成11
総合ポイント33
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性00
可読性11
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成11
総合33
閲覧指数:1148.9
2025/04/14 11時01分39秒現在
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