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メントスコーラ
メントスコーラ。 コーラの中にラムネを入れると、科学反応を起こして勢いよく中身が飛び出るというものだ。 >甘酸っぱさやほろ苦さに代表されるコントロールの効かないそれとは別に、ふとしたメントスで溢れ出る名も無き感情が、うんと粘性高い部分だけ身体にドロドロと残る わかると思う。 それが自分に向けられた愛だと分かっていても、心の中に残るジクジク。もて余すとネバネバして扱いに困る。そこにメントスまで入れられたら、さらに噴き上がって、服をべとべとに濡らしてしまう。そんなときはちゃんと水で洗い流すことをおすすめする。 人生はけっこうこのメントスコーラで、日常によくわからないメントスが突然入れられる。噴き上がる水柱におろおろしてしまう。誰だ? 僕の人生にメントスを後ろからそっと入れたのは。私だ。え?誰? 神だ。私も神だ。なんて、前に流行った冗談を言ってみたりする。 まあ、それはいいとして、話をメントスコーラに戻そう。 考えてみれば、コロナウイルスだって、ふいに世界に投げ込まれたメントスなのかもしれない。しかも特大の。もっとも、誰が入れたのかはわからないのでだけど。もし世界がコーラの世界じゃなくて、ミネラルウォーターの世界だったら、メントスミネラルウォーターというあまりおいしくない水が出来上がるだけだったしれない。ミネラルウォーターには、レモン汁を垂らしたいところだけど。まあ、レモン汁を垂らしたミネラルウォーターより、メントスコーラの方が幼い 人は喜ぶだろう。 話を本文に移そう。 内容を読んだ上で言えば、大きな世界(社会)の中での非力な自分と言ったところだろうか。実際、僕らはこの社会の中で、ふっと吹かれて飛んでいくたんぽぽの綿毛の一つくらい非力な存在。それだけの存在。そう、とてもちっぽけな存在だ。だけど、作中話者は言う。 >「お前のせいじゃないぞ自分の力でここまできたんだ」 そう、自分の力で咲かせたんだと。種からたんぽぽになったんだと。 最後のこの部分が美しい。 >海を越えた大陸で放たれた弾丸が第一宇宙速度を超えて私の胸まで届いたらいいのに きっと、この作者なら、その弾丸をフルスイングで場外ホームランにしてしまうだろう。もっともそれが愛の弾丸なら、撃ち抜かれるしかないのだけど。 実を言うと、僕はこの「メントスコーラ」というタイトル以上に、「遅れてきた戦友」というペンネームにとてもひかれた。ある意味、僕も遅れてきた戦友だから。なんてカッコつけたところで、筆を置こう。
メントスコーラ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1299.7
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作成日時 2020-03-15
コメント日時 2020-03-15
すいません。 タイトルは「暇を持て余さないメントスコーラ」でお願いします。
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