夜行の一例 - B-REVIEW
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夜行の一例    

最終の時刻を過ぎた寂れた駅を通り過ぎる。 寂し気なベンチ、とって付けたような時刻表。何を必死になっていたの? 夜の闇さえ近づけない。そんな白熱灯に世の大勢を見たような気がした。 室内灯は消え、窓外の微かな明かりに目が奪われる。 遠くに見える住宅街の暖色。絵に書いたような。偏見を以て幸せを形作る。 「おやすみ」 「おやすみ」 送電線の間に浮かぶ月を音符になぞらえたり。 純粋なる闇と化した山のシルエットに怯えてみたり。 幸福ね。 こんな時だから子守唄を聞かせてほしい。 背中をさすられながら、苦しみを遠ざけながら、その温もりに包まれて。 木々の間をすり抜けながら向かうは永遠の彼方。 時間すら届かない、命すら生まれない、座標軸には記せない世界。 あなたは来るだろうか。 あなたに来て欲しいのでしょうか。 想像の中でもあなたとは無言で、でも唯一無言になれる人で。 輪郭の描けない愛や優しさなんてものを口にしてしまえばそれはきっと嘘になる。 言葉を繋げば繋ぐほど遠ざかってしまう。底無し沼でのどんちゃん騒ぎ。 終点を過ぎても夜行は続く。 少なくとも朝が来るまでは私を遠くへ運んでくれる。 眠ってしまうのも惜しい気がしてきた。 境界が消えつつある世界、明日を忘れつつある心。あぁ、これが幸せなんだと確信する。 だからもう少しだけ遠くに行きたい。


夜行の一例 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 1278.8
お気に入り数: 1
投票数   : 0
ポイント数 : 13

作成日時 2020-03-09
コメント日時 2020-03-18
#現代詩
項目全期間(2025/04/14現在)投稿後10日間
叙情性55
前衛性11
可読性44
エンタメ00
技巧22
音韻11
構成00
総合ポイント1313
 平均値  中央値 
叙情性1.71
前衛性0.30
可読性1.31
 エンタメ00
技巧0.71
音韻0.30
構成00
総合4.34
閲覧指数:1278.8
2025/04/14 11時01分41秒現在
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    作品に書かれた推薦文

夜行の一例 コメントセクション

コメント数(2)
湯煙
作品へ
(2020-03-09)

有人駅、無人駅、秘境の駅と呼ばれるさまざまな駅がありますが、時間帯や自身の状況によりいろいろと感じ入るものが駅にはありますね。 月、山、木々、闇と。自然のものたちの顔を見ているような。特になにか劇的な変化なり現象などがあるわけではないですが、どこか畏怖の感覚を呼び起こすものがあるのでしょうか。最後の…もう少しだけ遠くに…と締められているのが印象深く感じられました。

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チャッピー
チャッピー
湯煙さんへ
(2020-03-18)

返信が遅くなりました。 コメントありがとうございました。 日常からの逃避と正体不明の何かがすぐそこにいる雰囲気を出したかったんだと思います。 改めて自分で見返すと統一感のない言葉にうんざりしますが。。。

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