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痛みと中心の不明 名もなき77億のあた詩たちへの返歌
ネット詩のカリスマのあの人が突如ネットに小説とも詩ともつかないものをあげた。 題名は『名もなき77億のあた詩たちへ』 (https://note.com/ni_katipo/n/n2fafe1940589〜最終話まで) その解釈はとてもむずかしい。 ただ語り手の分裂と痛みで時々なくしかなかった。そして特に後半のユーモアに大笑いしました。 山手線が都内中心部をぐるぐる回るように、語り手も何らかの核心の周縁を回り続けるように見えました。 なぜその中心、核心に迫らないのか、というのは言うだけならば容易いですが、そこには理由があるのだと感じました。 なんらかの真実というのはストレートに直視できないし、率直な言葉で語るには持て余してしまうものなのかもしれません。目を逸らし、話も脱線し、言葉もふわふわ踊り、思考は飛び飛びになる。その過程がすべて当人にとっての本当であるが故に、他者はその混沌を理解も出来ず信じようとしない。 意味がわからないという印象は極めて正しい。語り手も他者のために話に整合性を持たせる作り話はしない。その真摯さ、深刻さ、余裕のなさが置かれた状況の世界との距離感を物語るようでした。 極度に抽象的であるのにどこか生々しいこの小説が執着するものは一体何なのだろう。 生と死、存在と本質、言葉と世界、その奇妙な結びつきとその結びつきの不可能性を体現するかのような語り手。 まさに死にながら生き続け、自らが纏う皮を一枚一枚剥ぎ取りながら消滅へと向かう殉教者のように、ひたすら祈り続けるのでしょうか。 後半に出てくるジュリアナ東京、次々にでてくる歴史、歌の詞、それらは流れ中心につかない。 歌のメロディは各駅の発車メロディだとやっと気がつきました。 最後のシーンがあまりに美しくただ泣いた。なぜなら、ネットに詩を投稿する無名のままおわるかもしれない私達に向けられたものでもあることにきづいたからです。 この痛みのともなったラブレターに私たちは答えなくてどうするのか。 なぜ、彼女は天皇と皇居のまわりをまわったのだろう。まだわからないまま。そしてラストの神々しさと悲しさはなんなのでしょう。
痛みと中心の不明 名もなき77億のあた詩たちへの返歌 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1259.0
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2020-03-09
コメント日時 2020-03-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
幼いままの自意識が、彼女を世界から遠ざけていくのを、冷ややかな目で見ることしかできないのなら、文学や思想、芸術も哲学も全て無意味だと思いました。 難解な彼女の言葉を紐解き、その向こうの、はるか高みにある意識に光を当てることができる人が彼女の周りにあふれていれば 少しでも救われるのでしょうか。
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