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宇宙飛行士の解剖
電解質の血を流す躰が 胡乱な手つきで (あろうことかスプーンでもって) いまズタズタに暴かれている そこにはホルモン治療の跡があったり いつも19と言っていた彼の本当は40だったり そういったグロテスクを もっと注意深く観察して 蓄膿症や偏頭痛に似た あたりまえのメランコリーが 軒先に吊るした彼を (蛇行する排水管と歪な知性の両輪で追い立てられた二度目の夜はいっそう暗い場所に繋がっている) その死因を 誰か一人でも 厳格な優しさで記してあげられたなら
宇宙飛行士の解剖 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2294.5
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 10
作成日時 2020-03-08
コメント日時 2020-03-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 4 | 4 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 10 | 10 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 5 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
隠しておきたいという意志が確かに働き長年隠されてきた年齢やホルモン治療の事実が、外側に漏れ出している動かぬ証拠から暴かれてしまう点が大変不気味です。死人に口無しなはずが、残された身体の証拠からその人の内面の意志が怨念のように読み取れるようで、それはとてもグロテスクですね。しかし、これをグロテスクであると否定するのではなく、死因を最後の意志として受け止め記してあげる優しさに持っていくところに救いがありますね。おそらく自殺?という暗い題材にも関わらず、温かい気持ちになる不思議な作品です。
0コメントありがとうございます。 もし暖かい気持ちになっていただけたなら、それはarielさんが暖かい気持ちで詩を読み解いてくれたからだと思います。 不思議な優しさとか、そういうのを書きたいと思っているので、非常に嬉しいです。
1「温かい気持ち」ですね… すみません
0黒羽さん、読んでくださってありがとうございます。 スカッとした陽性のカタルシスを、実感を込めて表現できるようになりたいです。
0宇宙飛行士がなんらかの理由で死亡し、その彼を検死のための解剖を 描いた作品として拝読しました。 個人的には グロテスクという感覚について考えさせられる作品でした。 ホルモン治療の跡があったりすることや、遺体が生前に語っていた年齢が実年齢より かなり若かったりすることが、どのようなグロテスクであるか? 宇宙という場所との関係があるのかないのか。 遺体とあまり向き合う経験のない人にとっての グロテスクは、うろんな手つきでスプーンでスプーンでもって、血の流れている遺体が ここに、ある。と、いうことが グロテスクであるはずですが、グロテスクは 知性と興味の方向性で変わる。そのことが、私にとっては興味深かったです。
0沙一さん、コメントありがとうございます。 沙一さんの洞察力、すごいですね。僕の無意識の部分まできっちり補填してもらったような気持ちです。 自分の中で結構曖昧なイメージを言語化しているので、感想をもらえると視点が加わってさらに対象が鮮明に見えるような楽しさを覚えます。
0真清水るるさん、感想ありがとうございます。 僕には今なんとなく、「観測」というテーマがあって 主観と客観の関係性とか、そこら辺のことを考えている最中なので グロテスクは 知性と興味の方向性で変わる。 この一文は自分の中にかなり残りました。 じっくり考えてみます。
0全体を通しての雰囲気が好きです。 というのも、「電解質」「スプーン」「蛇行する排水管〜」のような、字面が、この作品の色味を決める要素になっていると思いました。 複雑な文章ながらも、どこかキャッチーで、読みやすかったです。
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