みくろみちのこ
みちのこみくろ
と
呼んでは春の
気まぐれ風が
お好み焼き屋の暖簾くぐり
きみに祝福の言葉
おめでとう!
はにかみ笑みを浮かべ
お辞儀をする丁寧な
ありがとう
東京大学に合格を果たした
ミチノコミクロ
はるはこすり
はるはすすり
道の子未知の子
呼んでは青白い
ねばつく液
がたらり
鼻から漏れ出す
紺の袖口にこびりつくもの
鼻をすする
鼻の下をこする癖
カナワナイワカラナイ
先生に叱られ
黙ってうつむくきみと
答えられずに
笑い合うぼくらと
答えられないまま
むずむずする春と
遠足
朝礼
整列をして
みえなくなる
きみと授業前のひととき
ジャガイモジャマイカ、
そして
きみの口は天にあり
きみの目は点になり
大きくなる笑い声
ゲラゲラケタケタころげた
ミチノコツチノコ
呼んでは茶髪のおかっぱ
切れ長のあーもんど
白い肌
銭湯にきみは
弟を連れやってくる
つまらないテレビ
アイドルたちの騒がしい夜
煙突の先に更けていく
月の下
湯冷めをする水曜日
傘を差していた
xとyとの交わりについて
√アワへんわ
√あわへんね
降っては跳ねる教室の
細くて傾いた
雨たちをなぞりながら
おしゃべりをしながら
閉じては開き
逃してはとらえる
切リ開いた空のあお
おぼえている
おぼえるあまやどり
かえるのあやとり
吸い込む薄紫の
そうして
このみちこのみち
みこのちちのみこ
と
新大阪駅からのぞみ8号に乗りきみが
弟が向けたスマホに手を振っている10:06
きみの手首は透き通り
こどもたちはいなくなって
おとなたちは見なくなって
ぼくは桜舞うまぶしい春の日を歩く
垂れてくる
づるづると漏れ出してくる
そのたびに鼻をすする
鼻の下をこする
今も
(リラ
(薄紫の
(きみの
(変わらない、
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 1769.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 37
作成日時 2020-03-08
コメント日時 2020-03-21
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 10 | 4 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 3 | 0 |
技巧 | 13 | 7 |
音韻 | 3 | 2 |
構成 | 8 | 4 |
総合ポイント | 37 | 17 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2.5 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0.8 | 0.5 |
技巧 | 3.3 | 3 |
音韻 | 0.8 | 0.5 |
構成 | 2 | 2 |
総合 | 9.3 | 10 |
閲覧指数:1769.2
2024/11/21 22時55分26秒現在
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んーーーーーーー、ほとんどの詩がわたしには難しいんですけども。 片思いの子との思い出でしょうか、でも時間軸が変? 最初と最後が繋がっているのかな? 中に挟み込んでいるのは学校の思い出。別々の人の記憶って事は無いと思いますけど。ふむふむ。 掴めそうなんですけど、あとほんのちょっとですり抜けられる感じでした。この、もうちょっと、ギリギリでわかりそうって感覚が先へと進ませますね。 そして、色々な要素が詰まっているから、飽きませんし。これだけ読者を楽しませる手を用意できて、更に、一つの作品に対して手数を豊富に使える(まだまだ隠し持っている)レパートリーの多さに驚きました。 様々な言葉遊びを組み込んでいるんですけど、それぞれが作品の雰囲気によく馴染んでいます。言葉が生み出す色や匂いを、正確に感じ取れる方なんじゃ無いかなって気がしました。 多分、使用されている言葉遊びは手持ちのストックの中から選び出して使っているのだとは思いますけど、もし、作品を書きながら時々の思いつきで遊びを入れたのでしたら恐ろしい才能です。 わたしが一番気に入ったところは > 傘を差していた xとyとの交わりについて √アワへんわ √あわへんね ここですね。ルートを傘に見立てるセンスが好きです。仲が良さそうな感じも伝わってきます。傘と雨に纏められている連の中で、ルート記号が、んー、オシャレ……かな。オシャレに効いています。 新大阪駅の辺りから、一気に現実へと帰ってくる重さの変化も巧みだなって思いました。 一方で、最後の(リラ からの4行。ここが、意味が掴めなかったということもあるのですが、必要性を見いだせなかったです。逆に、この4行が作品の肝になっているのなら、それまでの雰囲気作りが強く効き過ぎている気もします。そこだけ、毛並みが違うと言いますか。 秋の別れなら、長めの余韻を残すのもありと思いますけど、春なのでスッキリとした終わりの方が良かったんじゃないかなっていうのが、わたしの感想ですね。 詩としての善し悪しはわかんないですけど、興味深い作品でした。稀な感性の持ち主だなと感じました。
0√ 千才森 万葉さん はい。恋バナです? 過去回想の中で時間軸が前後しますから、頭から掴みにくいものになっているかもしれませんね。最終まで進めるための工夫を行う必要があるかなと、言葉遊びのようなものを取り入れたりしてはいますが。 √ルート記号については未だ判断が微妙ですね。当初は/ でしたが。√はやはり数式のための記号の意味合い(平方根=二乗)に解釈されますし。視覚的な遊びとして使用するにしては無理があるといいますか。余計な情報となってしまっているかもしれません。 最後の4行は結論みたいな感じになってしまい、作品には蛇足かもしれませんね。春ですから時節柄すっきりと止めて風情、余韻、といったものを残すほうが良いのかもしれません。課題の一つになるでしょうね。 御指摘を頂いて、こちらこそありがとうございました。
0恋バナ? → 恋バナ(?は桜の絵文字マーク) です。
0はじめは、風変わりな言葉に気をとられて、うまく読めませんでした。けれど、幾度か読んでみると、哀情の方が強く浮かび上がってきて、その世界に引き込まれました。じっくり何度も味わいたくなる詩ですね。
0>ABさん カナワナイワカラナイは安易でしたか。おそらく以前にアナドレナイアドレナリンといったものを書いた記憶がありましたから、思い出したのだと思います。ジャガイモジャマイカも作中の語り手にしか理解できないものかと。 最後の(括弧入りの連は、確かに必要ないのかもしれません。御指摘を受けて今気が付きましたが。参考になりました。 ありがとうございました。 >白川 山雨人さん はい。当初はその風変わりな言葉(おそらくみくろみちのこなど)はありませんでしたが、何か工夫が必要なのかなと。詠み手の気を引くための仕掛けのようなものになりますかね。もちろんアザトイですね^^; その哀情のようなものが少し感じられるようにできればとは思いましたね。 ありがとうございました。
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