妄想する人は美しい〜「レモンサワー」 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

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二酸化窒素

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批評対象
作品を読む

妄想する人は美しい〜「レモンサワー」    

<批評対象作品>
レモンサワー


石村氏の詩は僕にとってはいつもわかりやすくて難しい。作品について自分なりに述べてみようと、わかった事を過去に書いてみたことがある。その出来上がりのコメントは常に上滑りをしていた。自分が感得した作品のエッセンスが書けていない。その理由を僕はこの作品を読んで知覚した。僕には書けないのだ。「難しい」のは石村氏の詩ではなくて、詩を読んで想起する僕の人生を書きたくない、僕の劣等感を書けないからである。 石村氏が眺めている空は当たり前だけれど、僕が眺めている空とは違う。だけれども、石村氏が表現する空は僕の空であり、同時に背けたい僕の空だ。屈折し背ける僕であれば、「愚か者め」と、もしも空から聴こえたならば「賢き汝自身よ」などと適当に嘯く。では、氏がいう「愚か者め」は実直なのか。 >だからこのレモンサワーの >泡がはじけて消える >その一刹那に >真のしんじつをかんじたまへ 念のため云えば、石村氏の人生観を羨ましく思っているわけでもなく、共感をするわけでもない。誤解を恐れずに云えば学んでいるなどということでもない。私は今、僕の劣等感をここに書いているに過ぎない。なぜにそのような事を書くのかと云えば、これが私の批評だからである。 知る限りにおいて云えば、ビーレビに投稿された氏の作品への評とコメント(私の過去コメントも含め)は上滑りなものばかりではなかったか。それは何故か。己の無能さと劣等感に向き合ってもいない、戦ってもいない言葉で評していたからだと思う。 先にあげた連にある通り石村氏だって己の劣等感を「レモンサワー」で紛らしながら真実でなくひらがなの「しんじつ」として騙っているのだ。「似たような」愚か者だと本気で白状している。繰り返して云うがプロレス的な物言いではなくて、氏は本気で己の劣等感を紛らしの言葉で綴っている。そうであるとしたら「詩に沿った、内容についての解釈」を述べることが本当に相応しい評なのか。生き様には生き様の評を、つまり、そのスタイルを批評してこそ文学ではないだろうか。 >愚か者め と空がいふ >わかつてゐるさ >わかつちやゐないよ >俺もきみらも という僕への呼びかけのような呟き。(みうらの思い込みが前提としてあることは断っておく) 僕の劣等感の最大なところを開陳すればそれは、レトリックがそのままにしか書けないこと。(ただのヘタクソともいう) つまりあざとさがみうらの詩にはいつも残る。 では、この作品があざとくないか、露骨過ぎやしないかと云えば、寧ろ露骨さが全開になっている。それは、書きたいが書けない、それでも詩を書き続けてしまう業を、自虐的にも最後は己の願望を空に言わせてしまう露骨なセンチメンタルにある。つまりダサいことをこの詩はやっているのだ。では何故にこの作品が私に劣等感を開陳させるのか。それは詩を何故に書き続けてしまうのかという命題を孕んでいるからに他ならない。業とは命題でもあり、いつの世も業を己の命題だと妄想出来る男は美しい。 「レモンサワー」はとてもカッコつけた強がりに満ちたなさけなさが漂う詩だと思う。でも詩はなさけないやつが無条件にカッコつけていいのだとも思う。それはたとえ老いてしまった男だとしても。 高級だと嘯く僕の批評も同じ原理であると私らしく最後に記し、自己肯定感をもってこの批評を終わる。



妄想する人は美しい〜「レモンサワー」 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 6
P V 数 : 1961.0
お気に入り数: 1
投票数   : 0


作成日時 2020-03-04
コメント日時 2020-03-05

妄想する人は美しい〜「レモンサワー」 コメントセクション

コメント数(6)
石村利勝
作品へ
(2020-03-04)

作品よりも批評の方が面白くて文学として上等である好例。というよりもそこまで行かないと批評は文学になぞならない。これは立派な文章、立派な文学である。至らぬ作者ゆえに不憫な出来に終わった作品だが、このような批評文学の“出し”にして貰えたのは作者として本望である。

1
トビラ
作品へ
(2020-03-05)

道を歩いていて、ふと花を見つける。 美しい花だ。 そのとき人は、この花は昨日の花より美しいだろうか?とか、あのときあの子に贈った花より高価だろうか?と、考えるだろうか? この花は昨日の花よりきれいじゃないし、特別でもない安い花だから、価値が低いと思うだろうか。 花は劣等感を持たない。 ただ、美しく咲くだけだ。

0
三浦果実
石村利勝さんへ
(2020-03-05)

完璧な文などないのでしょうが、許容出来る域に達してるかどうかを自分が書いている時に見極めるには一定域に達する経験値が必要に思います。しかし、このルールをちゃぶ台返ししてしまうぶっ飛びっで書いてしまうものって時にあると思うんです。その「ガチ、本気度」が宿るものを最低限の見極めにしたいと考えます。たとえヘタクソで論理性無きものであれ、そうしたいです。逆にその宿りがない文、特に批評文はクソだと思います。

0
三浦果実
トビラさんへ
(2020-03-05)

なかなか鋭い迫りですね。たしかに花は花それだけで美しい。で、その美しさをわざわざ言葉をこねくり回して書く必要があるのかと、時に私も思うことがあります。「美しい」の一言だけでいいではないかと。これは、かなり難しい命題です。しかし、私はこの命題の自分の中で答えを持っています。その答えの確証を得ています。トビラさん、こんどよろしければツイキャスで肉声で話をしましょう。差し支えなければ。テキスト以外に肉声での伝えがあった方がいいなあと思う時があったりします。今後ともよろしくお願いします。

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トビラ
三浦果実さんへ
(2020-03-05)

返信ありがとうございます。 申し訳ないんですけど、僕はSNSを何もしていなくて、また、これからする予定もないんですよね。 だから、ごめんなさい。 放課後に校舎の裏に呼び出してくれた相手にこんなことをは言うのは、とても心苦しいのですが。 あと、口調がきつい口調になっていて、それもすいません。ちょっとカッコつけてみました。 僕の意図したところは、花を美しいの一言で終わらせていいのではないかといううことではなく、花は誰かと比較しない、ただあるがままで美しく咲いているということを言いたかったんですよ。 もっと言葉を付けたそうかとも思ったんですが、短く断定した方がカッコイイかなとか、思ってしまって。でも、伝わらなかったら、本末転倒ですね。 その命題に対する答え、なんでしょうね。気になります。 最近は、ビーレビくらいにしか顔を出してないですけど、よかったらまた声をかけてください。

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三浦果実
トビラさんへ
(2020-03-05)

トビラさん、SNSの件、了解です。コメントの強弱、大丈夫ですよ(笑)

0

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