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カタワのオニヤンマ
カタワのオニヤンマがアスファルトに張り付いていた。二本足りない脚動かして潰れた片目でおいらを睨んだ。 二月の季節は雪が降り、冷たい空っ風がオニヤンマの羽を吹き抜けた。 季節はずれのオニヤンマ、お前は何故太陽とともに死ななかったんだ。 夏に死ねばお前もこんな苦労をせずにすんだろうよ。思い残す事はもうないのか。前を振り向いても遅すぎるか。 襤褸の羽動かしてそれでもお前は空を飛びたいか。お前を苦しめたのは誰なんだ。白い新芽のぬくもりか。真夏の黄色い陽射しか。 それともあのほがらかな笑みを称えた子供達の麦藁帽子か。咲き乱れたひまわりよ、全て散ってしまえ。お前なんか嫌いだ。 何も言わぬカタワのオニヤンマよ。凍りついた人工の硬い泥石に張り付いたカタワのオニヤンマよ。 お前が睨んだのはお前を産むはずだった季節なのか。森よ死んでしまえ。川よ死んでしまえ。お前を生み出した生命なんか、ただの八百長だ。 お前はこのまま死んでいくのだろう。雪の腕に抱かれながら。お前の幸せも不幸せも雪が包んでくれるだろう。 精一杯生き抜いてくれといえないのが、おいらのせめてもの心残りか。
カタワのオニヤンマ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1824.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2020-02-28
コメント日時 2020-03-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ふじりゅう氏の作品へ意味不明のコメを入れていたが、作品は骨太。 季節外れのオニヤンマ、何故お前は太陽とともに死ななかったんだ。の一節は漢気を通せなかった痛恨を感じる。 他作品への意味不明のコメも自作詩への自信の現れと解釈しました。良作。
3ヽ(・◇・)ノそう、痛恨の正体は芋虫のディックだったのです! ヽ( ・◇・)ノそしてベンウェイ医師は世の無常に気にすることなく、アル中になりました。
0これはまた骨太で力強い作品ですね。オニヤンマとそれをみつめる人がくっきりと浮かんできます。オニヤンマも人も死ぬことには変わりなく、オニヤンマが思うであろうことはそれをみている、おいら、の素直な心情を写しているのでしょう。骨まで響く重低音な作品。
0なんで生き残ってしまったのでしょうね。 偶然なのか、なにか事情があってどうしても生きていたかったのか。 こうなってしまうと安楽死させてしまいたくなる気持ちがよくわかります。 睨む冬 合掌せし オニヤンマ
0ヽ(・◇・)ノそう、重低音の正体は芋虫のディックだったのです! ヽ( ・◇・)ノそこでベンウェイ医師は安楽死させました。
0青春の内に死ねなかった報われない魂に捧げられるとても純粋な言葉だと思いました。 語り口は力強いけど、うたわれていることはこの上なく繊細で内向的な孤独で 僕の抱えている生きづらさみたいなものを、装飾を削いだ、錐かなんかで突いたような すごくレベルの高い詩に心が震えました。 偉そうな感想でごめんなさい。あなたが作品に込めた想いと、僕の感動に齟齬がなければ 嬉しいです。
0青春の内に死ねなかった報われない魂に捧げられるとても純粋な言葉だと思いました。 語り口は力強いけど、うたわれていることはこの上なく繊細で内向的な孤独で 僕の抱えている生きづらさみたいなものを、装飾を削いだ、錐かなんかで突いたような すごくレベルの高い詩に心が震えました。 偉そうな感想でごめんなさい。あなたが作品に込めた想いと、僕の感動に齟齬がなければ 嬉しいです。
0ヽ(・◇・)ノそう、孤独の正体は芋虫のディックだったのです! ヽ( ・◇・)ノそしてベンウェイ医師は言いました。 ヽ(・◇・)ノどんな孤独にも苦しみにも必ず終わりがあると。
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