憑依する上等な独白〜「envy.com」 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



批評対象
作品を読む

憑依する上等な独白〜「envy.com」    

<批評対象作品>
envy.com


モノローグが詩に昇華するレトリックは憑依的でなければならない。下手な詩とは自分(自我とは書かない)が出まくっている作品だという説もある。だからといって営みにこそオリジナルがあるのだから、生の息遣い、オリジナルの言葉遣いは憑き物だけでは成立しない。自分を消して書き上げた詩など、それは既視感に塗れた誰かのコピーにしかならないだろう。 「envy.com」における独白は下手な詩と上等な散文詩のギリギリなところにあって読む者を惹きつける。それはパラレルワールドを求める心象にリアリティがあるからだろう。少なくとも私のような五十を過ぎたおっさんが >けれど、どのようにしたら私は >同時に二つの場所に存在できるのか >知らない と独白すればあまりにも憑き過ぎていて苦笑を買うだけだ。(というか、書けない) その二つの世界を希求する語り手から受ける営みとオリジナルの言葉遣いとは、無論、使い古された言葉ではある。 >続けていいですか 誰もが使うであろう言葉にオリジナルが宿る時、そこには必ずレトリックがある。独白が憑依に「自然に」に転調する。「続けていいですか」から受けるその現実世界における居心地の悪さは、夢うつつ氏のリアルな営みから発せられていて、それが憑依に転ずるのは言うまでもなく読み手である私によってだ。 また、本作はハイデッガー、あるいはシリアルエクスペリメンツレインと類似の匂いが覆っていて好ましい作品である。といっても全体的にはたどたどしい、が、しかしそれがかえって2020年のリアルにも思える。



憑依する上等な独白〜「envy.com」 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1518.0
お気に入り数: 1
投票数   : 0


作成日時 2020-02-27
コメント日時 2020-02-27

憑依する上等な独白〜「envy.com」 コメントセクション

コメント数(0)

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 3