足元から人の姿をほどかれる
そんな予感をやりすごして
ぼくは体温をベッドに置き忘れる
町は やぶれたそばから閉じていく
線のうねりでしかないし
吐き出された数多の帰路が
地図も無く泳ぎだす夜には
一体どんなさよならを言えばいい?
今さら
何かを返してもらおうとは思わないけど
あとから覚えた言葉や
優しさを捨てるのは
くぐもった耳鳴りを
愛する片手間でもいいんだ
遠くなるうみねこの声
つめたい響きの上澄みに気を取られ
一歩ずつ足を踏み入れると
加速の無い光のささくれが貫いて
淡々と
何万もの破壊の音が囲いだす
今日
はじめて新しい呼吸を教わった
それまでのことを思い出せばたちまち
足は擦り傷にまみれてしまうし
過去はただの
背後にすぎないけれど
足跡はとてもあたたかくて
そしていつか
青い扉がやさしくやさしく
何でも屈折させてくれると信じて
朝 サインを済ませて
透明チューブにハサミを入れた
切り口から滴る光が眩しくて
まだ誰かがいると思った
ぼくは言葉で人を殺せると思った
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1778.1
お気に入り数: 3
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ポイント数 : 4
作成日時 2020-02-24
コメント日時 2020-03-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:1778.1
2024/11/21 23時08分51秒現在
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心象の情景を言葉で完璧に現そうとする、その美しさが味わえます。ただ、読みやすさゆえか、語り手が持っているであろう膠着なるものが、全体的にフラットで透過過ぎている感があります。その全体の印象とは逆に最終連の最後の2行がその膠着なる心象を表しているのですが、全体の透明さと異なっているため、短略な言葉に読めてしまいます。やや興醒めしました。でも美しい作品ですね。読んで良かったです。
0コメントありがとうございます。
0こんばんは、私は体調の変化に伴い長いコメントを書けなくなりました、どうぞ宜しくお願いします。 日常、重きを置いているものが「あれでもなくこれでもなく」書き綴られていきます。その中で >足跡はとてもあたたかくて >そしていつか >青い扉がやさしくやさしく >何でも屈折させてくれると信じて という箇所に温かい体温を感じました。 好きな箇所です。 読めて嬉しかったです。
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