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涙腺の小人
涙腺に小人が住まうようになって 幾月の空が 地面を濡らしたのだろう あおい あおい あおい くろい くろい くろい まっさおが、まっしろく、まっくろく 煙突の梯子を真っ直ぐにのぼる君 幾年の星が 大地を照らしたのだろう くろく くろく くろく くろく くろく くろい/空に むじかくに、さんらんし、夜を照ら/す 「想像上の生き物だろうね」(と君は言う) 「星に住んでいる小人の話」(と僕は訊く) 「君の涙腺に住まう彼は何」(と僕は訊く) 「昔君の飼っていた小人さ」(と君は言う) 星の光に照らされた小人は、 一人の例外もなく、 死滅する。 階段から転倒した星にぶつかった小人は 一人の例外もなく、 死滅する。 活字に紛れて暮らす星を見つけた小人は 一人の例外もなく、 死滅する。 煙突をのぼる君に星が語りかけは、 しないだろうか 「誰か/私/を/照らし/て/くだ/さ/い」 と。 涙腺に小人が住まうようなって 幾億の空が 星の誕生を祝ったのだろう ないて ないて ないた さけび さけび さけんだ またたくまに、濡れていたのは、涙腺の小人 私たちは、 星の名を
涙腺の小人 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1955.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 56
作成日時 2020-02-19
コメント日時 2020-02-28
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 14 | 14 |
前衛性 | 7 | 7 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 5 | 5 |
技巧 | 13 | 13 |
音韻 | 7 | 7 |
構成 | 10 | 10 |
総合ポイント | 56 | 56 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2.3 | 2 |
前衛性 | 1.2 | 0.5 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0.8 | 0 |
技巧 | 2.2 | 1.5 |
音韻 | 1.2 | 0 |
構成 | 1.7 | 0.5 |
総合 | 9.3 | 7.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
小人を涙腺に溜まった涙、それは悲しみとイコールであり、星々の僅かな活動でいともたやすく死滅してしまう。 それは感情そのものの殺害のようであり、君は主人公の小人が徐々に死滅していくさまを見届けている。 星がなんなのかは明示されてないのですが、君と主人公はその何らかのまばゆい光に侵されていく様子が描かれているようだ。 本作の重要な部分は星が何なのかであり、それこそを読者各々に委ねているように考えられる。我々は年を重ねるごとに悲しみから縁遠くなるが、それは決して喜ばしいものではないのかもしれないと感じさせる作品である。
ふじりゅうさん ありふれた表現で、特異な作品を書きたいと思い、書きました。 「君と主人公はその何らかのまばゆい光に侵されていく様子」という表現が素敵ですね。 拙作へのコメント、ありがとうございます。 ※作品とは関係ありませんが、サイトリニューアル楽しみにしております。作業、お疲れさまでした。
0ABさん 花粉の季節になりましたね。 頑張ってください。最近友達が亡くなったんですけど、僕の小人は存外からっからです。 拙作へのコメント、ありがとうございます。
0昔から様々なことを小人の仕業と語られてきましたが、涙腺に住む小人の話ははじめて読みました。ロマンチックだなぁと思います。小人と星と煙突をのぼる君、の関係性に思いを馳せる楽しみがありますね。 また、私は年々涙もろくなっているのですが、つまり私の涙腺に住む小人には何が起こったということなのでしょう?などと考えるのも面白いです。
0構成の勝利。驚くほどの奇抜な表現はないが最後まで読ませる。ラストの「、」での区切りも良い。ただ一つこの詩に限らず、漢字で書けるところを平仮名で表す技法は、失敗すると間延びするので危ういとは思う。この詩においては辛うじて踏みとどまったという印象。出来れば左部さんに平仮名を多用した狙いを聞きたいところ。
0コメントをありがとうございます。 年々涙もろくなっているのですか、小人になにがあったのでしょうね。 「涙腺の小人」は私の創作ですが、世の中のある事柄を誰かの所為にしてしまうと楽になることや重みを増すことがありますよね。ロマンチック、とてもうれしいコメントです。重ねて、ありがとうございます。
0stereotype2085 さん 構成をお褒めいただけたこと、とても嬉しいです。 ご質問にあります「平仮名を多用した狙い」への回答ですが、「狙い」としては作中の人々の「気怠さ」や「思考を放棄」するさまを描きたいなと思ったのがあります。ひらがなを多用することで、私は特に「思考を放棄」している様子が描けているのではないかと思ったのですね。「ピュア」といいますか、感情丸裸、といいましょうか。そういったニュアンスを作品にちりばめたい、という意図のもとに平仮名を使いました。 まあ正直な話、最近何をするにも億劫で、考えることをやめたい、という自分の感覚が滲んでいるだけの気もしますけど。 コメント、ありがとうございました。
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