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Beautiful
名前も知らない女性が隣で寝てて 使った覚えなんてない注射器も転がってて 胸焼けがやけにヒドイ目覚めを迎えたら 少しは自分が道を踏み誤ったことに気づくだろう? 海は見えない。空が晴れていても。 地平線なんてビルにはばまれて目にすることすら出来ない。 君の時間は2012年で止まったままだ。 幼い頃の想い出は君を裏切らないからね。 君はいつだって、どこでだって、いつでも 夢見る少年のままだ。時間は限りなく与えられている。 歯を磨いて、顔を洗ったら とりあえずは横たわったままの女性に服でも着せておやりよ。 ニュースでは聞いたこともない芸能人の醜聞が流れている。 前途有望だった政治家も収賄で捕まったらしい。 渇いた笑い声をあげるコメディアンも いつかは途方に暮れるジョーカーになるのを君は知っている。 未来も閉ざされて、今日でさえ、明日でさえ、昨日でさえ 返せもしない負債であふれたら もう自分を変える時だ。 ホテルを出て、タクシーに飛び乗り、君は空港へ向かう。 反対車線では酔いの回ったドライバーが事故を起こしてるけれど 君はもう見向きもしない。もう君には関係ないからね。君は自由だ。 置き忘れた荷物のことなんて考える必要もない。 剃りのこした髭が気になりだして、頬に手をあてがい 飛行機が雲を作る空を見上げたら 銃の空砲を撃ち鳴らして、黒烏を追い払い 家にお帰り。 愛猫が待ってるよ。
Beautiful ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2524.1
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 7
作成日時 2020-02-19
コメント日時 2020-03-08
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 7 | 7 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.5 | 0.5 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 1.5 | 1.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
剃り残した髭 という空白の中の自由感、のようなものがステレオさんの作品の素晴らしいところだと感じます。 余裕を持て余したときに発するものは、自由で枠にはまらず面白いものですよね。剃り残した髭が気になりだす…些細な場面。場面にも満たないことかもしれないですが、とても広い空間を食しているような、贅沢感を味わえます。 やっぱりステレオさんの作品はいいですね。
1せいろんさん、コメントありがとうございます。「空白の中の自由感」。自由って追いかければ追いかけるほど、どこか悪徳めいたものにたどり着くじゃないですか。悪、とか道義に反するものとか、実は物凄くスリリングで興奮するものだと思うんですよ。でもそれが行き過ぎた時、「私は道義に反することをしているから今面白いんだ」という自覚がなくなった時、人は底なし沼に落ちていく可能性があると思うんです。俗に言う自由には代償がともなうという奴ですね。この詩の主人公は最後に自由という不自由から抜け出すのですが、「空白」を思わせる訥々とした描写の中で静けさと快気が描けたのならこの詩は成功だったと思います。好印象を抱いていただきありがとうございました。
1こんにちは この作品は、ドラマ性が高い作品ですね。このドラマは、2012年には まだ、日の当たる場所にいた人物がいて、その人は薬物依存に陥っている状況からの脱却しようとしている人物。そして、この作品は その人への応援メッセージの詩作品として読みました。 あわれもない女性が隣にいたりする状況とか、リアルですね。話し手は、ドラマの映像をみながら作中人物へ声をかけているかのような詩の構成になっているなあと 思いました。 stereotype2085 さんは音楽にお詳しいと聞いたことがあったので、 2012年のなにかしらの出来事とは、なんとなく なにかコンサートかなにかがあったんじゃあないかなあという気が、個人的には しました。 私の想像だと、このドラマは 芸術的才能がある人物が自身の感覚の拡張への欲求から破綻してしまった物語だと思ったのです。ですが、それは深読みかもしれませんね 私がこの作品で好きだった言葉がありました。 >もう君には関係ないからね。君は自由だ。 という箇所が好きです。過去というダークな出来事しかいない すべてのことは >もう君には関係ないからね。 そして、 >君は自由だ。 未来と過去を比べると、だれだって過去はイメージする材料が たくさんあります。切り捨てるべき悪習を切り放すための物語や 言葉が、今の私には 必要だったからかもしれません。だから>君は自由だ。が、好きです。 もう一つは、愛猫が かわいかったです。猫ちゃんが、家でまっているということは 荒んだ暮らしをしている この人には、どうやら帰る場所があるみたい。 未来が見えにくいときって、そういう温かい場所があるって、大事なんだろうなあと思いました。 遠ざかる 過去から猫を すくいだせ (雛祭イベントで、五七五調でコメントしてます。) https://www.breview.org/forum_blog/archives/668
0ヽ(・◇・)ノ幼い頃の想い出の正体は芋虫のディックです。 ヽ( ・◇・)ノそこで聖愚者は愛猫にこう言いました。 ヽ(・◇・)ノお前も蝋人形にしてやろうか! ヽ(・◇・)ノしかし、愛猫は人間椅子派でした。 ヽ(・◇・ )ノこうして聖愚者と愛猫の間には、暗くて深い溝ができたのです。 ヽ(・◇・)ノそこでアル中のベンウェイ医師は、酔っ払い運転で事故を起こしました。 ヽ(・◇・ )ノ ))))そう、どんな物事にも必ず終わりがあるのです。
0躓きを ひるがえせるぜ 猫ならば (雛祭イベントで、五七五調でコメントしてます。) https://www.breview.org/forum_blog/archives/668
0るるりらさん、こんばんは。お返事遅れました。コメントありかどうございます。この詩はですね。実は最早良くないんですよ、今の僕にとって。だって注射器とか出てくるじゃないですか。違法ドラッグの使用を多分に匂わせる表現。なのにこの詩の主人公は、症状に苦しむこともなく、裁かれることもない。ただ愛猫のもとへ帰り、魂の蘇生を見い出すだけです。だから全体が、骨格がしっかりしていない詩に感じる。でもるるりらさんが読み取ってくださったようにドラマ性だけを抽出して読むと、まさに再生の詩として悪くない。良いんです。それが恐らく僕がこの詩を書いている時心地よかった理由でしょう。僕はこれから音楽も含めて次のステップに参ります。どんな作品を作るかは分かりませんが今後ご期待あれです。それでは。
0ベイトマンさん、こんばんは。コメントありがとうございます。お返事遅れました。意味不明の体裁を成すコメでも核心を突いているではないですか。そうです。何ごとも最後には終わりが来るのです。どんな悲しみ、苦痛も、過剰なまでの歓びにも。その辺りを読み取ってくださり嬉しかったです。では。
0新しき 知れば知るほど 今光り 五七五でお返事させてもいただきました。楽しい時間をありがとうです。
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