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なぜ悲しみばかり流れるのだろう?
なぜ悲しみばかり 流れるのだろう? 遠い夜の街を歩く人の みやびで正しい歩調があり、 この国のよどんだ人の心に ひとつの透きとおったメロディーを流す ありきたりな流行歌がある。 新しい生活のリズムに合わせて、 奏でる完璧な夢の残骸に 戸惑い牙を剥く、 月並みの怒りの言葉が、 拒絶を指し示す季節風に映るから、 ただ眼をつむってしまう。 思わずその空気を無視してしまう清々しさに、 かたくなに眼をつむってしまう。 夜の闇の、深さを知れ。 その綺麗な蒼色を、 やさしさで見ようとする鳥籠の住人は、 翼をもぎ取られた過去の傷を癒やせず、 もはや罪のレンガ造りの家の中から、 「空を飛びたいのです、」と 最後の防波堤としての希望を 歌にしようとするしかなく、 その歌にはいっそ悲しみ色の空をもう一度、 白い鳥のものにしてあげるという、 はかなげな夢が織り込まれていた。 なぜ悲しみばかり 流れるのだろう? この国の空気には、涙よりもつらい水分が、 パントマイムの影のように 手を振りながら、朝を迎える冷たさがある。 なぜ悲しみばかり 流れるのだろう? 夜が明けるまでに、もう一度振り返る時間も、 もう、この国には用意されていないというのに。
なぜ悲しみばかり流れるのだろう? ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1971.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 26
作成日時 2020-02-16
コメント日時 2020-03-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 12 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 4 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 4 | 1 |
音韻 | 3 | 0 |
構成 | 3 | 0 |
総合ポイント | 26 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 1.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0.5 |
音韻 | 0.8 | 0 |
構成 | 0.8 | 0 |
総合 | 6.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
儚い脆さが美しい詩、じーんときました。怒りの季節風が吹く深い闇の中で、夢のようにやさしさを見つめようとする詩人の声は、真に大切で美しいのに、流行歌のように人々の耳に届くことはない、儚い声なのですね。世間の冷たさの闇を怒りと力で断罪することもできるけれども、力の抜けた諦念で見据えるところがまた一層やさしく、悲しく、響きます。 素晴らしい詩に出会えて嬉しいです。この世界観に、大変共感致します。
0説明と比喩が多すぎて読みづらかったです。そしてその比喩や説明も結局「〇〇な××が△△の◻︎◻︎のように……」みたいに、ただ言葉が接続詞で繋がれているだけなので、くどくて読みづらい文が出来上がっています。 何でもかんでも比喩や形容詞をくっつけるのでなく、文章全体の構成やバランスを考えたり、黙るところは黙るというような推敲が必要かと思います。
0arielさま.過分なご評価を有難うございます。 ここでの初めての投稿なもので、励みになります。 夢うつつさまも、至らぬところばかりの私の詩ごときに、ご感想とご批評をいただき誠に有難うございます。
0夢うつつ様が、やられていたのを見て、へーッ、そういうのもアリなんだ、って。 これ、いいじゃん。推敲しました。 って言えば、もう一度、皆さまにみていただけるのですね。 推敲しました。 タイトル、は、同じ。 なぜ悲しみばかり 流れるのだろう? この街を歩く人は、 月を眺めて立ち止まる。 ひとつの透きとおった、 メロディーが流れるとき、 たえまなく紙飛行機が飛ぶ、 ビルの屋上から。 生活のリズムに合わせられない 夢の残骸が転がっている 月光のもとのイチョウの木の下に。 季節風の心はやさしいが、 私の目では神をみつけられず、 ただ眼をつむって、 祈ってしまうのだ。 キラリと光るほど冷たい 夜の街の空気を無視して 清々しく、深呼吸をする。 かたくなな、 夜の闇の、深さを知れ。 その闇に塗られた蒼色を、 やさしさで見ようとする私は、 突然、翼を、もぎ取られ、 地を這うものとなる。 傷は癒やせず、 いくつかの罪の中から、 「空を飛びたいのです」と 叶えてはいけない希望を 歌にして歌ってしまいそうになる。 その歌には 今夜の月を葬送するという 冷たい夢も、 織り込まれていた。 なぜ悲しみばかり 流れるのだろう? この国の空気には、 涙よりも悲しい水分がふくまれ、 朝を迎えても凍ったままの この国の空気には、 なぜ悲しみばかり 流れるのだろう? 夜が明けるまでに、 もう一度振り返る時間も、 もう、 この国には用意されていないというのに。
1花澤さんの詩を拝読し、なんというか広大な感性の海のようなものを感じました。 ただ文章が伝わりやすいかというと、僕には伝わりにくいものでした。花澤さんの作品の良さを味わうために何度も読み直しましたから。 それで思ったことが、伝わりづらい原因は、文の組み立て、構文にあるんじゃないかということです。 例えば、推敲前のここなんですが >この国の空気には、涙よりもつらい水分が、 パントマイムの影のように 手を振りながら、朝を迎える冷たさがある ここは、 この国の空気には(涙よりもつらい水分が)(パントマイムの影のように)手を振りながら)朝を迎える)⦅ような⦆冷たさがある ということであると思います。 つまり、この国の空気(雰囲気)は冷たい。 そしてその冷たさは、どのような質感を持った冷たさかというと、(涙よりもつらい水分が)(パントマイムの影のように)手を振りながら)朝を迎える)⦅ような⦆冷たさ。 主語、述語、修飾語はしっかりあるのですが、その置き方が複雑で意味が取りにくいのかなと思いました。 これはほんの一例ですが、 朝を迎える 手を振りながら パントマイムの影のように 涙よりもつらい水分が この国には冷たさがある 書き方としては、こういう書き方もあるのではないかと思います。 もっとも、この並び替えた文の方が良いかというと、うーん、でもあって、結局、花澤さんが答えを出すしかないのですが。 推敲後の作品を拝読しても、打ちひしがれた嘆きというより、慈悲のような慈しみのある悲しみを感じ、ジーンとします。この味わいが届きにくいのは、なにかもったいないようにも思ってしまいます。ですので、人が読んだらどう見えるかという構文力を磨かれてもいいんじゃないでしょうか。
0抒情の質が私のツボでした。とても好きなタイプの作品です。
0石村様。 好きな抒情の質、と言っていただき、有難うございます。 このサイトは初めてなので、いまいち勝手がわからないまま、うろついています。 こんなところで言うべきことではないと、わきまえながらも、言わせていただきます。 皆さま、よろしくお願い致します。
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