別枠表示
横断歩行
赤信号が りんご飴に見えた 丸くて膨らんだ 頬のように 機嫌が悪いのは 雨のせいかな 青信号は 紫陽花の魂 生まれて死んでを 繰り返しながら 手を離れた 傘が転がる
横断歩行 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1837.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2020-02-06
コメント日時 2020-02-16
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.3 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.7 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0.3 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.3 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この作品は言葉が少なく、ぱっと読むとぱっと読めるのですが、語らないことで物事を語るものを感じました。見落としてはいけないのだと。 後述されているのでわかるのですが、おそらく場面は雨が降っている情景です。「赤信号」自体は立体物ではあるのですが、その「赤」を伝えているのは、実に表面的な部分でしかありません。「赤信号」を裏から見てもそれが「赤」を示していることはわかりません。当たり前のことかもしれないですが、これが「赤信号」と「りんご飴」との違いです。しかし、「赤信号」というただの「赤」を伝える表面=二次元的装置が「りんご飴」という「丸くて膨らんだ」立体物であるようにとらえることができたのは、「雨」がその表面に艶をもたらしたからでしょう。きっと雨が降って、濡れていなかったら、やはり「赤信号」はただの表面的なものでしかないように思えます。 「青信号」も同様に「青」を伝えるだけの表面上の装置なのですが、「紫陽花の塊」という立体物であることを示してあります。これは単に「紫陽花」の色が「青」であるという比喩であるだけではなく、「雨」がもたらした「紫陽花」の喚起であります。青い花は他にもありますが、やはり、これが「紫陽花」である理由としては、「雨」が降っているからこそであり、本来は「雨」は偶然の出来事でしかないのですが、この作品における事物の選択は必然的なものとして導かれています。「生まれて死んでを/繰り返しながら」というのも、信号は、「赤」と「青」を同時に伝えることはできません。どちらかが存在している時は、どちらかが存在しない=死している時であると。 最後の「手を離れた/傘が転がる」という終わりも鮮やかで。というのも、この作品、語り手である「私」について語られた作品ではなく、映像として、事物が移り変わるだけであって。唯一「私」が垣間見えるのは「機嫌が悪いのは/雨のせいかな」という感慨が述べられた二行なのですが、それでも、「私」を語るための作品ではないのです。最後は、「(私の)手を離れた」と補うことができるのかもしれないですが、こうしてしまうと、語り手がこの作品世界に作用・干渉してしまうのですが、むしろ、「傘」が主体となって、「傘」が自ら転がりゆくように描かれているのがいいなあ、と。 このような「わたしわたし」していない作品で、多くを語らずして、上手くまとまっている作品は珍しいなあ、読まれてほしいなあと思いました。
0なかたつ様 ご丁寧にありがとうございます。 私のイメージした頭の中が、見事に再現されたコメントを頂けました。大変うれしく思います。 私について、深く掘り下げた詩に憧れがあるのですが、なかなか自分には書けません。 あまり好きな作品では無かったので、これを機にまた読み直してみたいです。 ありがとうございました。
0赤や青という色合いが温度や湿度を伴って感じられて、その質感が心地いいと思いました。 強いて言えば、きれいにまとまりすぎているようにもちょっと思いました。なるべくきれいなところを切りとって描いている。多分、本当はきれいなだけというのは、なかなか無くて、自分の中にも世の中にもきれいじゃないものは沢山ある。そういうきれいじゃないものを排して作品が作られているように感じました。もちろん、書き方、手法として、それも全然ありだと思います。ガラス細工の中に異物があっても、悪目立ちするとも思いますし。ただ、そういう異物(きれいじゃないもの)が、作品の中にとけていたら、甘味の中に塩味や苦味を加えると甘味が際立つように、きれいさが引き立つのかなと思いました。
0短い作品なのに、サラッと読んではいけないと思いました。 自分が何か大事なものを見過ごしているように思って、何度も読み返しました。 特に最後の二段は、 自分の中でいろんなパターンの映像を想像して楽しみました。 素敵な作品に出会えて嬉しいです。
0トビラさま そうなんです。いつも、綺麗に纏まりすぎてしまい物足りなく感じてしまいます。今後の課題ですね。ありがとうございました。 黒羽さま アドバイスありがとうございました。 最後の最後まで気は抜けませんね。 波野さま たくさん読んで頂いたようで、嬉しく思います。ありがとうございました。
0「雨の信号待ち」という日常の何気ない情景を、鮮やかに描かれていて、信号機の色の例え方も、私には思い付かないものばかりで新鮮でした。
0山岸 伊織さま コメント下さりありがとうございます。 まだまだ、勉強中です。よろしくお願いします。
0