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気づいたらそこで歩いていた。
気づいたらそこで歩いていた。 真っ暗な、かすかな光さえ見ることのできない場所。音すら聞こえない。どこが前で、どこが後ろなのか、進んでいるのか戻っているのか知るすべはない。動くのが怖い。歩くのが怖い。走り続けるのが怖い。自分がどこに進んでいるのか知るすべはない。 分からなかった。あっているのか間違えているのか、そもそもそのような概念さえわからなかった。歩く意味がわからなかった。 一人、また一人と、人は動くのをやめる。その無意味さ、価値のなさに気づき、また怯え。そしてまた一人一人と動くのをやめる。 その空間に意味はない。歩くこと、走ることにさえも意味を感じるすべはない。それにもかかわらず何故動き続ける?なぜ走る?なぜ努力をする?そこに意味はないのに。価値などはないのにもかかわらず。俺にも動くのをやめるときが来た。大人として、物事を理解するときが。価値のない努力の、結果という名の何も変わらぬものを積み上げる作業を、変わりのないものを延々と繰り返す作業を終えるときが。さあ、もうやめよう。何かを変えようとするのは。変えたところで根本的には何も変わらないことに対し、変えるため努力を積み重ねるのは。さあ、その無意味さを理解するときが来た。 結果を求めることに意味がないのなら求めない。変化を起こすことに意味がないのなら起こさない。何も意味がないことを続けるほど俺は馬鹿ではない。 だけど。 俺は動く。走る。走り続ける努力をする。それに意味がないことはわかっている。結果に意味がないことはわかっている。自分が進んでいるのかもわからない。調べるすべもない。それでも走り続ける。 だって、 意味は自分の中にあったから。
気づいたらそこで歩いていた。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 990.1
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ポイント数 : 0
作成日時 2020-01-27
コメント日時 2020-01-27
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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- 作品に書かれた推薦文