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無い過去。
濃紺が駆ける 草原に落ちる銀の煌めき 夜露に湿る服 粟立ち波紋する湖 溢れる唄をどうしようか 喉を詰まらせるほどの声を この夜にどうしようか 深緑が渡る 五月蠅い日差し 鈍く反射する影と肌 せせら笑う小川 如何程の詩を作ろうか 後ろ髪を引かれるこの季節を この朝に作ろうか 紅が滲みる 辻子を歩き振り向く 手漉き硝子に写る黴びた装丁 水溜の跳ねた跡 止どまる詠を忘れよう 心が痛むほどの街を この午に忘れよう 過去である 懐古である 恐ろしいまでの羨望である 一匙の夜がそこにあるのならば 思わずにはいられない 異国の草原を駆けたこと 一枚の新緑がそこにあるのならば 思わずにはいられない 亡くした人のこと 一夕の淵がそこにあるのならば 思わずにはいられない 百も昔の街並みのこと しかし懐古 しかし幻想 確かに覚えているのに 私はそこにいなかった 焦燥感に苛まれ懐古に犯され 羨望と私だけが今 残されている
無い過去。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1309.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 10
作成日時 2020-01-10
コメント日時 2020-01-15
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 3 | 3 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 10 | 10 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.3 | 0 |
前衛性 | 1 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.7 | 1 |
総合 | 3.3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
沙一さま> ありがとうございます。一連一連を対にするのが気に入っているので、そう言っていただけて嬉しいです。 ええまさにその通りで、あんまり鮮明な時があってどうしようか迷ってしまう時さえあります。
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