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始発
夜、そこから白くながれてゆく砂のような明けがたの音。鼓膜を満たす孤独にふさぐ耳にもごうごう、ご先祖様の地下鉄が輝度の高い匂いを放つ。鮮やかに錆びた記憶野、佇む半蔵門線の“紫”に流れる弦楽の音色は花冷えの処女群を.mp3の粗い解像度のままトンネルの暗渠へと散り敷き、炎症を起こした内臓の箱が黒く吠えて失踪すると車内広告に発光した。萎れた骨の寄せるベンチに咽び泣く声は清掃中に殺され、見えない地上の空を血まみれの指が払う。ぞろぞろ高まる肉の密度に沸騰してゆく日常が、膿漏の明るさで笑っている。
始発 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1347.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2020-01-10
コメント日時 2020-01-12
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.5 | 0.5 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
沙一さんへ 批評をくださり、ありがとうございます。 個人的に、合評の場では詩の自己解説を普通にする派なのですが、本作はTwitterで書いた二編の即興詩をレコード代わりにしてDJプレイのような形でミックスした作品になります。ある意味、同じ語彙を使いつつ(良くも悪くも)別物のオリジナルを作るような感覚で、元の作品を知らなくても単体で鑑賞出来るようにしてみました。 なので、「地下鉄」というフレーズに託したものは、Twitterのほうと今回ビーレビ用に作ったものとで微妙にニュアンスが異なり、前者のほうが作者にとっての日常のリアルと密接に繋がる語だったかもしれません。そういう意味において、本作から失われた味はたしかにありますね。 また、共感覚的表現はわりと私が抽象度の高い作品で取り入れがちな自覚はあるのですが、特定の対象を鑑賞するとき一時的かつ擬似的にそういう感覚に近付くときはあって、これを言語のなかに落とし込むならばやはりいわゆる“ゲンダイシ”的な言語感覚のほうが“しっくりくる”気がします。なにかと悪者にされがちな“ゲンダイシ”ですが、この分野の開拓した技法でなければ掬えないモノって普通に人間にあると思っていて、私の身体感覚のある部位にとってはこれが“リアル”ですね。
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