グランドキャニオン - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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グランドキャニオン    

  Intro 記:そうだ。貴方は四年前、彼女の仕事場に毎日のように通っていたそうですね。O:そうだね。記:では、貴方はその時どのような心理状況だったのですか?O:安定してるとは決して言えない状態ではあったね。彼女に会いにいく時、以外は部屋の隅に留まっていた。記:この時はまだ持病に気づいていなかったのですね。彼女とはどんな会話を交わしましたか?O:そうだね。振り返ると半年間くらい通ったが合わせて五分も会話してない気がする。彼女が経営学を専攻していると言ったから、「経営学は権力や財力を求めるを人が集まるためサイコパス割合が最も高い学部でもちろん、君も例外じゃないぜ。」と冗談半分で言ったのを覚えている。記:まったく裏腹なことをしますね。でも不思議です。なぜもっと会話を広げなかったのですか?貴方も彼女もむしろコミュニケーションが得意な部類だと思いますが?O:簡単だよ。若い頃に誰でもやったことあるだろう。知らずのうちに黄金比率の理想像を自分の内側に作り出してしまう。例えば、ミロのヴィーナスに文字通り手を加えるなんてこと誰もしないだろ。それと同じだよ。全ての行動が蛇足だと考え傍観者を決め込んだんだ。加えて彼女も僕も根本的なイメージは過去を加工し作り上げられている。過去の記憶は日々、風化し都合の良いものが付加される。だからその時はなるべく影響を与えないようにしてたんだ。僕は欲望で彼女を侵食し、偶像で満足していた。記:なるほど過度な期待と対人への恐怖を抱いていたのですね。貴方の抱く理想が彼女に伝わっていたという自覚はありますか?O:いいえ。この時はまったく。 最初に見たのは、二の腕である。 乾いた塩素の匂いが教室に充満している。 頭にズキズキくる。同時にどれだけ洗い流そうと消えることのない人の香りが意識を襲ってきて、そのリズムはまるで電車の揺れのようだった。早くはないが確実に何かすり減ってるような。椅子は倒れ、机が割れている。ワイシャツの中で少し冷たい液体が横腹に流れ込む。その走って行く感覚に逆らうように脊椎は何かを探していた。


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作品データ

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P V 数 : 1160.6
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作成日時 2020-01-05
コメント日時 2020-01-05
#テキスト
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
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2025/04/13 00時43分02秒現在
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