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不可知
鏡 少女は相手の瞳に 〝感情〟 なるものを発見する ーーここからはじめるーー グラノーラの中の一粒の、口に入れたアーモンドが歯に圧迫され、ゆっくりと砕け、その感触が口腔全体に響き渡る。 破片になる。 状態が受精のような一撃で変化した。 あまりにも、な空間が身体のあらゆる箇所にあると思ったが、物質はなく。 紛れもない負荷を感じそこに〝感情〟であることが重なる。 海王星の環の摩擦から移り住んできた火球のような人には相応しくない、アメトロンからの純粋に抽出されたマントル、血の泡。 奥歯の裏に身を潜めるようにするアーモンドの破片。肉壁の唾液に沈水し、次第に下り、運動を失う。 少し傾いた状態で歯茎に突き刺さる奥歯は虫歯になりかけ、自ら盲目になろうとし、噴出する透明な唾液が氾濫した狩野川のように汚濁していく。 立体なく、日焼けの後の剥けた皮膚みたいに薄い。 不整備で。
不可知 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 844.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-07-04
コメント日時 2017-07-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
冒頭の四行が印象深いですね。不可知である、それゆえに知りたい、と欲する、感情、なるもの・・・ 触覚が〈受精のような一撃〉〈純粋に抽出されたマントル、血の泡〉といったインパクトのある言葉で辿られていく、その手つきがユニークだと思います。 〈あまりにも、な空間が体のあらゆる箇所にあると思った〉自分の身体の不可知な部分、感覚の謎、そんなエアポケットのような掴みがたい感覚について触れておられるのでしょうか・・・ 海王星の環の摩擦!イメージの飛躍が大きすぎて、置いてけぼりを喰ったような感覚も残りますが、日焼けの後の剥けた皮膚みたいに薄い〉など、体感、五感を駆使した比喩に、具体性を感じます。
0こんにちは、読ませていただきました。 作品の深さに、読み尽くせていませんが、感じたことを書きます。 まず、性行為には、感情が決定的な役割を果たす、ということが、面白いと思いました。 少女の見た感情の本体を発見していくプロセスのように、読みました。 性行為にまでは、作品は想定されていないとしても、何かの破れが、感情を深化させるという ことが書かれていると、感じました。
0まりもさん 読んでいただきありがとうございます。 自分の感情、よく分からないですし、おそらく、解ってしまった時、それは感情ではなく、信号になるのではないか、と思っています。 徹底して不可知でなければ、感情は感情としての体をなさない。そもそもが、この詩の中での純粋、などと、感情が純粋なのは自分にとってであり、感情そのものが純粋な、厳格な修道女みたいなものなわけがないのですよね。海王星の環の摩擦のように、僕たちは遠くても近くても、不可知がある。という感じですかね。感情を知りたいと言う感情、をり知りたいという、荘子か。と。 ありがとうございます。
0黒髪さん 読んでいただきありがとうございます。 性行為、これは徹底された動機が必要ですよね。僕は常々思うのが、野生的な性行為は、繁殖繁栄が主体で、恐らく恋愛感情と言うよりかは、進化論的に考えると、遺伝子の劣勢の排除の観点のみで行われている、からこそ、人とは違い、完璧主義なんだなと。 人は、動機をつけますよね、性行為だけでなく、あらゆる事に。しかも、善行よりも、悪行の方がその動機は重要視されるんです。不思議ですよね。そもそもの性行為が、なぜここまで人間に限り変質し、また、諸刃の剣のようになってしまったのか。愛は、偉大であり、それ故に蝕む速度も彗星なみ。唯物か唯心か、とは、もうあまり意味のある議論でなく、体外の作用によって、人は生きている。感情は、もしかすると、詩の中で語られる、瞳の中や、内臓の中や血ではなく、自分の感情の核心とはほど、他者が持ち得ているかもしれませんね。 性行為への言及、とても役に立ちました。想定外にまで広がるからこそ、僕は詩が好きだし、面白いと思っています。答えを定義して、それを差し出して感想を貰おうとするのは、これは同意ですしね。僕は僕が意図しない答えが欲しくて、詩を書いてるんだな、と思いました。 ありがとうございました。
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