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怠惰
(よくひえた 缶コーラが二本) 君は白痴で 胸はまぶしく 指先は枝のようにほそり 僕は今日さえ穏やかに住む 僕らのまるで無邪気な笑みが 仮面の上には表情されず ふたりの吐息に攪拌されて 部屋の水温に溶け込んでしまう 君は白痴で 怠惰だった こころで笑い 浮かれて あるいは泣きたくなりながら ずっとだまっているものだから
怠惰 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 889.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-07-03
コメント日時 2017-07-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ご苦労様です。 最期の〝堪え〟の表現が息を詰まらせ、西欧的湿度のような詩情を感じました。 ありがとうございました。
0〈僕は今日さえ穏やかに住む〉この「さえ」という言葉が印象に残ります。今日ですら、ということか。冴える、イメージ、住む/澄む、イメージ。 〈仮面の上には表情されず/ふたりの吐息に攪拌されて/部屋の水温に溶け込んでしまう〉音韻から選ばれた語句かも知れませんが、表情されず、というような・・・ある種、明治文学に用いられたような古風な語感、拡販、水温、といった漢語のアクセントに味わいがあると思いました。 心の中では思いが乱れているはずなのに、まったく表情に表さず、黙り込んでいる恋人・・・その恋人に対して、怠惰、と告げているのか、あるいは、その心中に踏み込もうとしないまま、無邪気な笑みを浮かべている〈僕〉が怠惰、なのか・・・。2人を包む、水底のような空気。もう少し、二人の関係性に踏み込んでほしい、という欲を覚えつつ。
0ありがとうございます。 自分ではそうと分かっているのに、他者へは表現できないところ 自分自身に対しても表現されないところ、そういう領域について、 怠惰という言葉を使って書いてみたかったのでやってみました。
0冒頭に俗物が置かれているだけなのですが、むしろ詩の世界がぐっと拡がりを感じさせます。一人暮らししている小さな部屋に二人で一息ついている世界、これは僕の勝手なイメージですが、そのイメージがこの二行だけで呼び起こされました。 僕から見た君がどうであるかが書かれているのですが、そこには君の内面と外面が交差しています。「君は白痴」という内面、「胸はまぶしく/指先は枝のようにほそり」という外面。いずれにしても、僕は君を弱弱しいものとして想っているのでしょうか。 「僕は今日さえ穏やかに住む」ことから、これらの前段が当たり前かであるような日常の風景であることがわかります。無邪気な笑みもきっといつもの風景だけれども、そういったものも吐息によって攪拌し、部屋の水温に溶け込んで、その形は消えてゆくものです。 そして、君は白痴であるだけでなく、「怠惰だった」と。その怠惰を自らに課すのではなく、君に課すということが、どのような意味を持つのか。自らに対する価値判断であれば、僕は何となくわかるのですが、他者に向かって「怠惰だった」というのは何だか残念、もしくは無念の情があるように感じました。 笑い、浮かれて、泣くというのが「泣きたくなり」とあるので、そうはできないからこその欲望なのでしょう。つまり、語り手は「こころ」からの感情表現を望んでいるのでしょう。君はこころからの感情表現を出さない、つまり、表情に出さない=表に出さないことがきっと語り手にとって不服だから、そのことを「怠惰」だと述べているのだと捉えました。
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